数理解析研究紹介教員紹介坂田 定久
教授 坂田 定久

 物理的,工学的現象や経済現象あるいは生物学的現象を数学的モデルを用いて表し,これを解析する方法は広く用いられている。過去のデータや既に分かっている事実から,その現象を巧く表していると思われる数学的モデルを作り,それから将来に起こると予測される結果,事象を前もって知るのが目的である。例えば,ある生物の個体数の変化は近似的にロジスティック方程式x'(t)=ax(t){1-x(t)/K}の解曲線,即ちロジスティック曲線で表されるということになっている。つまり,時刻tにおけるその生物の個体数x(t)の増加率x'(t)がその瞬間における個体数x(t)によって表されると仮定されている。しかし,増加率x'(t)が時刻tにおける個体数x(t)ではなく,ある一定の時間rだけさかのぼった時刻t-rにおける個体数x(t-r)により表された式x'(t)=ax(t){1-x(t-r)/K}に従って変化すると考える方が理にかなうという考え方がある。このような時間遅れを持つ微分方程式,特に線形微分方程式の解の振る舞いを研究する。 


最近の学術論文

  1. Stability regions for linear differential equations with two kinds of time lags
    S.Sakata, T.Hara
    Funkcial. Ekvac., 47 129-144 (2004)
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