太陽電池の動作原理


北野 祐史


平衡状態のPN接合のP型層とN型層に1個の光子が入射して,電子を伝導体に上げた場合を考える。
P型
光子によって励起された電子は、エネルギー段差を右側のN層に向かって転げ落ちる。
N型
電子は左側に動こうとしても、エネルギー段差を乗り越えられず、N層にたまる。
次に光の量が増え電圧が発生している状態を示す。
電子と正孔の移動の結果、電子がN層、正孔がP層にたまる。フェルミレベルは帯電した電荷量に対応した段差を生じ、V=△Ef/qとなる。
太陽電池は光照射時の光量の増加に従って曲線が下へさがる。順方向電圧をかけると、起電力が外部の電圧より大きければ、極性が逆転する。
 最大電力をPm、その時の最大電圧、電流をそれぞれVop、Iopとすると、次のグラフになる。
         

○ 損失
★光吸収の損失
 エネルギーギャプEg以上のエネルギーをもつ光子だけが吸収され、Egより低いエネルギーは透過してしまう。
★吸収後のエネルギー損失
 Egより大きいhνのエネルギーが吸収されるが、hν−Egのエネルギーは熱エネルギーとなり利用できるのは、Egだけである。
★再結合による損失
 光子によって、P型では電子、N型では正孔が接合部へ向かって移動する。
 P層の伝導帯と空乏層のA点で発生した電子はすぐに段差を転げおちる。しかし、それより左で発生した電子は右側へ向かって移動するが、 移動に要する時間が長くP型シリコン中を0.01μm通過するのに約3μsecかかり、これは距離の二乗に比例して増加する。 過剰な電子はエネルギー帯の準位をもつ再結合中心を介して消滅してしまう。この寿命はP型シリコンでは、数μsec、 拡散による通過時間と比較すると、0.01cmと同等である。


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