2.　透視図の概念について

　　2.1 透視図ってな～に？

　図学や製図の講義で学んだと思いますが，透視(perspective)というものをここで，もう一度勉強しておきましょう．新関研究室では，常に立体を考え，2次元的表示ではなく3次元的表示を主としています．つまり、パーソナルコンピュータの画面（２次元平面）に、３次元の立体を表示させる必要があります．そこで，まずは平面（2次元）にある立体をわかりやすく3次元的に考えてみしょう．

図１．二次元的表示とその消失点

　図1に，その例を示します．この図１では，直方体ABCDEFGHを２次元の平面に描いています．図１の直方体は，２次元の平面に描かれていることから本来（３次元でいうところの）平行であるはずの辺が平行にはなっていません．つまり，辺ADと辺EH，辺CDと辺GHなどは，それぞれ平行ではないと言うことです．しかし，３次元の直方体としては，辺ADは辺EHなどの辺と平行です．同じように辺CDも辺GHどの辺と平行と言うことができます．

　ここで，図1を形作っている破線は，点P，Qで交わります．この点P,Qを消点（vanishing point）と言います．これらの消点は，実際に3次元における空間に存在するわけではありません．ただ単に，図を描くための手法なのです．このように視覚を利用した手法を一般に，透視（perspective）といいます．どうですか？これで，透視図については，大体のことを思い出しましたか？

　　2.2　透視の効果

　では次に，透視によってどんな効果が現れるかについて少し説明しておきます．透視の効果といっても，皆さんは生活する上でごく普通にこれに似た効果を体験しています．例えば，電車や自動車に乗っているとき，遠くを見るとその先にある物体は，小さく見えたりしますね．また逆に，すぐ近くを見ると，そこにある物体は大きく見えますね．このように，透視の大きな特徴は，遠近感が出るということです．

　透視の効果というのは，消点と物体間の距離に反比例するので，その距離が大きな“キー”となるのです．消点が物体に近づくと図2(a)のように透視効果が強く現れます．この図において，平行である線分を延ばしていくと1点で交わることが分かるでしょう．その反対に，消点が物体から遠ざかると，線分は図中でもほぼ平行になります．その例を，図2(b)に示しておきます．

(a)　　　　　　　　　　　　　　　　　　(b)

図2．透視の効果