光ファイバー・光プローブからの ニアフィールドパターンの直接観察

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 近年微細化の道を進む集積回路。または、これまでの常識とは異なる物性が確認される極微少物体。このような微細な領域における形状・物性を観察するためには光学顕微鏡の解像度を超える必要があり、そのためには測定に用いる光の波長λを短くするしかない。
 その方法の一つとして近接場を利用した近接場顕微鏡がある。近接場顕微鏡においてその解像度はスキャンに用いるプローブの形状に依存する。プローブ先端から染み出る近接場の分布サイズは先端部開口径に依存し、またその強度は先端部突起長に依存する。
 よって、より高い解像度を得るためには、より小さな開口を持ち、より短い突起を持つことが必要となってくる。
 当研究は、研究室で作成した光プローブ先端の近接場の空間分布を調べることで、その評価を目的としたものである。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。 -目的-
 近接場顕微鏡の光プローブは光ファイバを加工したもので、当研究室では溶融延伸法による光プローブ作製を行なっている。
 それにより作製された光プローブは左の図のような形状をしており、実線で描いた部分がプローブ形状またはクラッド層で、破線で示した部分がコア層となる。
 実際に製作した光プローブではその先端部の形状においてコア部がクラッドを突き破って先端まで到達しているか否かを調べる必要があった。



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 実際に光プローブの先端部に発生する近接場を測定するには、左図のようにアクリル樹脂にプローブ径φ0.25mmの穴をあけそれに光プローブを埋め込み、紫外線硬化樹脂によって固める。
 その後壁開面を少しずつ削り、そのつどプローブ先端部に発生する近接場の空間分布を測定する。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  まず、実際に光プローブをアクリル硬化樹脂の中に埋め込み固めることができるのかどうかを見るため、光プローブの変わりに水平にせん断した光ファイバを埋め込みそれを測定に用いることとした。
 このとき条件として光ファイバーの先端が光プローブホルダの端にぎりぎりまで来ていること、紫外線硬化樹脂がまんべんなく接着されていることがあげられる。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  光プローブを埋め込むためにアクリル樹脂を加工している時の様子を左に示している。
 このとき削った穴を磨くのは横から顕微鏡で観察する時にここが曇っているとクリアに観察することが出来ないので、磨いてざらつきを無くしておく必要があったからである。
 表面調整も同じような理由であるが、こちらは0.25mmの穴からアクリル樹脂の壁面までの幅があると同じくクリアに観察できないからで、その為光プローブを通す穴まで出来るだけ薄くしておく必要があった。
 表面調整は最後に光ファイバ用の研磨シートで表面を磨いて完了とした。
 これを「光プローブホルダ」と呼ぶ。



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  作製した光プローブホルダに光ファイバを埋め込み紫外線硬化樹脂で固めた物が左の写真である。
 この写真からもファイバ先端が光プローブホルダの劈開面ぎりぎりまで来ていることがわかる。(緑色破線)

左上:光ファイバを上から見た写真
右上:光ファイバを横から見た写真(フォーカスを光ファイバ先端に固定)
右下:光ファイバを横から見た写真(フォーカスを光プローブホルダに固定)



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。  次に上の状態から光プローブホルダを0.001mm削った時の写真である。
 これにより光プローブホルダと一緒に光ファイバも削れていることが確認できた。

左上:光ファイバを上から見た写真
右上:光ファイバを横から見た写真(フォーカスを光ファイバ先端に固定)
右下:光ファイバを横から見た写真(フォーカスを光プローブホルダに固定)



画像をクリックすると、拡大画像が新しいウインドウに表示されます。 -今後の展望-
 今後実際に光プローブの先端部の評価に移っていきたい。
 このとき光プローブを埋め込んだ光ファイバホルダを少しずつ削って、そのつど近接場顕微鏡でスキャンを行い空間的に近接場の分布を調べる。