リハビリ×情報テクノロジー
リハビリ×情報テクノロジー

情報テクノロジーの活用がますます進む
理学療法の世界は、今後どう変わる?

義足や義手を扱うなど、理学療法はもともと工学分野と結びつきが強い世界です。そして、近年のIoTやAI、ロボット技術などの進歩により、理学療法の世界は新しいステージに踏み出し始めています。理学療法士が従来行ってきた動作の解析、治療方針の決定、患者さんへの向き合い方など、さまざまなことが情報テクノロジーの活用により新しい時代に適応する形で変化し始めています。

Case INTERVIEW まなびの紹介Case INTERVIEW まなびの紹介

理学療法士の現場では、
情報テクノロジーの
進化でどのような変化があった?

理学療法士とは動作の専門家です。人がどのような仕組みで筋肉を使い、動作しているのかを理解しておかないと、立ち上がれなくなったり、歩けなくなったりしたときに何が原因なのか、どう解決すれば改善につながるのか判断がつきません。理学療法では、関節の位置や体の動きを三次元的に測定するなど、以前より動作解析において情報テクノロジーの活用は行われていましたが、近年の技術革新やIoT、AIなどの進歩により、より手軽に精度の高い解析ができるようになりました。
例えば、患者さんの歩行データを読み取るためにこれまでは大規模な機器が必要でしたが、現在では簡易の小型カメラで分析が容易に行えるようになるなど、機器のセッティングや手間が簡単になりました。その分、頻繁かつ繰り返し科学的な分析が行えるようになり、きめ細かい治療方針の立案も可能になりました。それにより、受け持つ患者さんの人数も、患者さんと向き合う時間も増やせるようになるなど仕事のやり方も変わってくるでしょう。

これからの理学療法士に必要なことは?

理学療法の現場では、人の動作の筋力を測り、データ化するロボットがあります。そのロボットを使うことで、手を曲げる時どのタイミングで動かしはじめ、緩め、止めるのかといった動作に対して、感覚的に説明していたことが言語化、数値化できるようになりました。これにより、ベテランの理学療法士でも若い理学療法士でも、そのデータを用いることでより効果的なリハビリテーションプログラムを立てることができます。AIによる診断も同じく、それぞれの症状に応じた治療プログラムが自動で出てくるようになるかもしれません。しかし、AIやコンピュータが出す結果や診断は、あくまでも確率や平均から導かれたもので、目の前に現れる患者さん全てに当てはまるとはあまり言えません。
AIやロボットが出す答えをそのまま受け入れるのではなく、実際に患者さんを前にして自分でデータを読み取り、問いを立て、自分で粘り強く考え、解釈できることが重要になってきます。これからの理学療法士には情報テクノロジーの知識とともに、それらをいかに活かすかというスキルが必要です。

情報テクノロジーが進化した社会に、
理学療法士として求められることは?

医学的リハビリテーションは、患者さんが自ら良くなるように頑張らなければ、治療側のスタッフがいくら一所懸命頑張っても良くなることはありません。まさに、理学療法とは対人援助の仕事です。特にリハビリテーションでは、痛みや苦しみを伴うこともあり、患者さんに「この先生の言う通りにすれば良くなる」と思ってもらえる信頼関係があってこそ前に進むものです。
常に患者さんに寄り添いながら、時に励ましたり、時に休ませたりすることも大切な仕事です。また、理学療法は社会性を帯びた医学とも言われます。完全に治すことができず障がいが残ったとしても、患者さんそれぞれの社会や日常に復帰させることが第一使命です。そのため、その背景にある生活や社会を把握した上で対応していかなければなりません。情報テクノロジーがどれだけ進化したとしても、データだけに頼らず生身の患者さんと向き合えるコミュニケーション能力は、決して不要になることはないでしょう。

情報テクノロジーを扱い、患者さんと
向き合える
理学療法士になるには、
どのような学びが必要?

大阪電気通信大学ではもともと情報分野と工学分野に強い大学ということもあり、理学療法士にとって必要な情報テクノロジー機器は十分に備わっていると言えるでしょう。関節の位置や体の動きを三次元的に測定する「三次元動作解析装置」をはじめ、人が動作する時に床を押す力を三次元で計測する「床反力計」や筋力測定ロボット、脳の働きを計測できる光脳機能イメージング装置など、ハイレベルな機器をいち早く取り揃え使いこなしています。
また、歩行分析などでは学生が苦労するデータ解析を情報系の学部と連携して、短時間にスムーズに行えるようになりました。その分データ解析にじっくりと時間を設けることができ、解析力を効率よく鍛えられます。機器に触れ、データ解析までしたことがある人とそうでない人では、現場に立った際、患者さんの見方に大きな差が生まれます。

医療健康科学部 理学療法学科 小田 邦彦教授
【今回インタビューに答えてくれた先生】
医療健康科学部 理学療法学科
小田 邦彦教授
専門のリハビリテーションセンターに17年間勤務。企業や大学とのリハビリテーションロボットの開発に携わるなど、工学領域のエンジニアと医学の領域の連携の重要性を痛感。その後、現職へ就任。※2020年4月より医療福祉工学部から医療健康科学部へ名称変更

FUTURE POSSIBILITY 将来、どう役立つのかFUTURE POSSIBILITY 将来、どう役立つのか

データに、自分の解釈を。
情報テクノロジーを
使うから活かす、
次世代の理学療法士へ。

理学療法にも、AIやロボットの活用はますます進んでいくでしょう。これまで、限られた人や場所のみで使用されていた先端機器もより身近なものとなり、臨床現場においても幅広い活用が見込まれます。患者さんの動作の測定、分析、診断はより効率的に、また活躍の現場も病院やリハビリ施設から介護や福祉などの地域や自宅へと変化するかもしれません。その際、情報テクノロジーを扱えることはもちろん、それを患者さんのためにどう活用していくのか、出てきたデータをどう解釈していくのかが求められます。テクノロジーでできること、人間ができること、それぞれの役割を理解し、追求していくことで、理学療法士の存在価値はより大きなものへと広がっていきます。

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