2.評価方法

 Hall測定で得られた電子密度の温度依存性n(T) を用いて、関数S(T,Eref) を

		−(1)

と定義する。新しく導入したパラメータErefで、S(T,Eref)がピークになる温度(Tpeak)を変化させる。
 次に、上記の定義式を理論的に検討する。電気的中性条件から求められる電子密度n(T)は

		−(2)

で与えられる5)。ここで、NDiとEDi は第i番目のドナー密度とエネルギー準位であり、gDiは第i番目の縮退因子、NAjとEAjは第j番目のアクセプタ密度とエネルギー準

位であり、gAjは第j番目の縮退因子、EF はフェルミ準位である。ここでは、n形半導体について考察しているので、フェルミ分布関数1/{gAjexp[EAj-EF/kT]}は1と考えられる。そこで、

		−(3)

と近似する。 したがって、S(T,Eref)は

		−(4)

となる。ここで、

		,−(5)
		,−(6)
		,−(7)

であり、ECは伝導帯下端のエネルギーを示す。各iに対するDi(T)exp(Eref/kT)が異なった温度(Tpeak i)でピークを持つことを利用して、各々の不純物密度とエネルギー準位を評価する。


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