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大阪電気通信大学では、新たな時代の学びに向けて、
寝屋川キャンパスをリニューアル。
「オープンな研究室で、専門外の新たな学問に触れ、
研究のイノベーションを起こしたい。」
そんな想いから、OECUイノベーションスクエアと名づけ、
2022年3月に竣工しました。
人が自然と集まる空間で、
これまでにない価値とコミュニケーションを創出。
学びの形を進化させていきます。
OECUイノベーションスクエアにつながる広場は、学生を対象としたコンペティションの最優秀作品をもとにデザインしました。
バスケットゴール
円形広場
PICK UP SPOT
学生たちが考えた広場のコンセプトは、「過去のものを活かし未来へつなぐこと」。学園祭のステージとしても親しまれてきた円形広場をよみがえらせ、にぎわいを継承するとともに、バスケットゴールも受け継がれています。
学園80周年記念事業として、新しく寝屋川キャンパスに設置する広場に関する案を学生から募集し、2021年から2022年にかけてコンペを開催しました。受賞チームの声をもとに、そのプロセスと舞台裏をご紹介します。
寝屋川キャンパス広場コンペティション
なぜ広場コンペは始まったのか?
学生たちの広場を、学生を起点につくる
学生たちに、大学のこれからの姿を自分ごととして捉え、興味や愛着を育んでもらうとともに、
多くの人に向けて自分の考えを伝える機会や、企業とのモノづくりを体験する機会を提供したいという思いから、コンペの開催に至りました。
オリエンテーション
2021年10月18日
本学の学部生・大学院生を対象として、広場コンペの募集がスタート。
特設Webページも公開され、コンペの主旨や評価ポイント、提案の要件などが開示されました。
卒業設計展の代表も務める慌ただしい日々の中、
ひとりでは難しいけど絶対に参加したいと考え、他の2人に声をかけました。
1次審査
2022年2月9日
学生から自由な提案を募り、「広場のコンセプト」を重視した審査を行いました。書類による1次審査を8組の案が通過しました。
1次審査は、手書きの製図でアイデアを形に。
卒業設計展の初日と提出が重なるというハードな日程も、
「大学に残せるものをつくりたい」という思いでやり遂げました。
2次審査
2022年3月9日
審査委員へのプレゼンテーションや質疑応答を行い、受賞者を決定。紙の図案に加えて、模型をつくってプレゼンに臨むチームも見られました。
普段建築を学んでいない人も、
模型ができあがると集まってきてザワザワしていました。
どのチームよりも大きな模型と、どこもつくっていない動画。
「つくり込み過ぎたかな?」というくらい、
とことん準備してプレゼンに臨みました。
最終結果発表&
ワークショップ
2022年3月18日〜
最優秀賞作品に選出されたチームは、建築学科の教員やコンペに参加した学生、設計・施工担当の竹中工務店とともに、具体的な実施案を検討するワークショップを行い、提案を形にしていきました。
竹中工務店の方とのワークショップでは、
たった1本の線が、そこを行き交う人の動きも視線も、
建築コストまでも大きく変えてしまうことを学びました。
Student Lab
これまでは研究ごとの個別の部屋となっていた研究室でしたが、OECUイノベーションスクエアでは、学科ごとに区切り、オープンな空間になりました。また、研究室間は壁ではなく家具で間仕切るので、隣の学科の研究を感じることができます。大学全体の学びが「見える化」され、今まで知らなかった専門外の研究も目に入るようになります。そのことにより、これまでにない発見を生み出し、研究のイノベーションを起こします。
Student Lounge
2階、3階の研究室エリアに学生・教員のコミュニケーションの場として、ラウンジを6か所設けました。研究室からメイン通りに出るエリアにあるため、休憩などで「人が自然と集まってくる空間」となっています。隣の学科の様子や研究室の活動を垣間見ることができるので、お互いに刺激しあい、切磋琢磨できる場になります。
i Lounge
キッチンや、木でできた椅子と机を設け、居心地の良さを追求しました。1階西入り口を入ってすぐのところ、そして学生のサポート窓口があるWEST Areaの正面にあるため、学生・教職員のコミュニケーションの場として利用しやすい場所になっています。i Loungeの「i」は「innovation」の頭文字。
テラス
屋外にある大階段を上がったところに大きなテラスを設けました。研究室や実験室のあるOECUイノベーションスクエアの中でリフレッシュができるスペースとなっています。第二期完成時には、授業教室や図書館、学生食堂があるエデュケーションセンターとつながり、より便利になります。
Student Lounge da Vinci/Turing
3階の実験室エリアにあるラウンジです。学生たちが「レオナルド・ダ・ヴィンチ」や「アラン・チューリング」のように知的好奇心を持った人になってほしいという思いが込められています。実験室の前にあるので、休憩中に友だちと話したり、勉強したりといった横のつながりを生む空間です。向かいに研究室が見え、友だちの頑張る様子を見て刺激を受ける場所になっています。少し視線を変えるだけで、いつもと違った大学の風景を垣間見ることができます。
Project Rooms
実験室の向かいにあり、実験のアイデアを持ち寄るのに最適なプロジェクトルームです。学生・教員が新たな価値を創造する空間になっています。部屋の名称には単位の10−12 (pico)や10−9 (nano)など理系大学ならではのサインが取り入れられています。この無数の個が集まり、形を形成する個性的なアイコンは具体的な形を持たない電子・情報・ネットワークをイメージしています。
Lab
2階、3階には各学科の専門的な実験室を設けています。ガラス張りになっているので、廊下から中の様子が見えるオープンな実験室になっています。多くの実験器具があるため、専門以外の実験に触れ合うことが可能になりました。メイン通りを挟んだところに研究室があり、研究で出た課題をすぐ解決しに行くことができます。
3D造形先端加工センター
「こんなモノがあったらいいのに」というアイデアを3Dの形で製造ができる施設。1階正面入口を入ってすぐのところにあるため、誰でもモノづくりの現場を体感することができます。研究用のオリジナル部品や映画撮影用の小道具制作等、幅広く活用されており、専門職員の支援により、機械の知識が浅くても安心して利用可能。学生一人ひとりの研究やモノづくりを支えています。
EAST Area WEST Area
EAST Areaには、教職員や来客対応の多い総務課や学事課、WEST Areaには、学生サポート窓口である学務部・寝屋川オフィス・国際交流センター・資格学習支援センターを設置。 学生や教職員が集まりやすい1階のメイン通りにあるため、オープンなコミュニケーションが生まれています。学生が声をかけやすいハイカウンターや、個別の相談などじっくり話を聞くためのローカウンターを設置し、学生に寄り添いサポートします。
寝屋川オフィス
学生相談にスムーズに対応するため、カウンターや個別相談ブースを設け、就職資料コーナーは、学生が立ち寄りやすく、かつ落ち着いて考えられる場所に。また、学生の繊細な相談もできるように、就職コーナー奥に面談室を設置。就職活動の不安にも寄り添います。
コンベンションホール
座席数約200席、ノートPC100台分の電源容量のある会議室です。ロールスクリーンを配置し、オープンキャンパスやイベント会場としても利用されます。ガラス張りになっているので、キャンパスの活気を感じられる開放感のあるホールになっています。
パウダールーム・フィッテイングルーム
女性専用のパウダールームとフィッティングルームを1階女子トイレ内に完備。パウダールームには、大きな鏡と荷物を置くスペースがあり、ゆっくり身だしなみを整えることができます。またフィッティングルームの中にも姿見があるので、着替えや服装のチェックなどができます。
アクティビティホール
バスケットボールコートを3つ配備している体育施設。木造で温かみのある内装になっています。体育の授業や、クラブ活動で活用されていますが、ロボット競技会など、本学ならではの実施も想定しています。
COMMENT
寝屋川キャンパス広場
完成記念コメント
【広場コンペ 最優秀賞チーム代表】
大学院 工学研究科 工学専攻
建築学コース 2年
武田 剛さん
大学院 工学研究科 工学専攻
建築学コース 2年
松本 康平さん
大学院 工学研究科 工学専攻
建築学コース 2年
高橋 侑里さん
大学院 工学研究科 工学専攻
建築学コース 2年
武田 剛さん
STUDENT VOICE
切磋琢磨できる2人の存在が
チャレンジの原動力に
今回チームを組んだ武田くんと高橋くんは、学内外のコンペの常連。僕自身も寝屋川キャンパスリニューアルに向けたプロジェクトの学生代表を務めていたのですがコロナ禍で中止になってしまい、切磋琢磨できる2人の存在が、「もう一度チャレンジしてみよう」と思えるきっかけをくれました。
大学院 工学研究科 工学専攻
建築学コース 2年
松本 康平さん
STUDENT VOICE
意見の違いが、お互いの学びになり
より良い提案につながった
チームでモノをつくる難しさも、おもしろさも体験できました。デザインを重視する武田くんと、機能や効率を重視する松本くん、自分はその真ん中くらいにいてバランスを大切にするタイプ。意見がぶつかり合うこともありましたが、そのたびに気づきや学びがあり、アイデアが磨かれていきました。
大学院 工学研究科 工学専攻
建築学コース 2年
高橋 侑里さん
STUDENT VOICE
どう「伝える」のかを大事にして
模型も資料も動画も、つくり込んだ
広場のコンセプトや図案はもちろん、その提案内容をどう「伝える」のか、ということに力を注ぎました。1次審査は紙の資料でしたが、それでは建築の知識を持つ人にしか伝わらない。プレゼンに向けて「できることは全部やろう」と、模型やパワーポイント資料に加えて動画もつくり込みました。
大学院 工学研究科 工学専攻
建築学コース 2年
武田 剛さん
※取材当時の所属、学年
PROFESSIONAL VOICEプロは学生の提案をどう形にした?
円形広場の案を活かし、新たな賑わいのシンボルへ
学生の思いが詰まった案をベースにして、J号館の食堂・ラウンジ・エントランスとの一体性、渡り廊下やデッキからの視線、イノベーションスクエアからの動線や視線、南側運動施設との連携など、周辺の景観や機能の要素を加えて実施設計を行いました。コンペ案から引き継いだ円形広場は、キャンパスの「公の孔」として、すり鉢状の形が自然に人を引き込み、新たなにぎわいのシンボルとなりました。
株式会社 竹中工務店
東京本店 設計部 第3部門第2グループ長
宮本 聡子さん