なぜ大学院卒業生が求められるのか?

最近,日本は物作りにおいて安さを武器にしているアジアの他の諸国に負けている. 日本の産業が世界で生き残るためには,価格競争だけではなく,技術力を活かした独創的で品質のよい物作りをする必要がある. それには,確かな基礎学力を持ち,しかも自分の頭で考えることができる技術者・研究者が求められている. これまで,日本の企業は企業内教育で社員を育ててきたが,厳しい経済状況によりその余裕がなくなり, より高度な教育を受けた大学院卒業生を求める傾向が強くなっている. 学部では基礎的な事項の修得に重点が置かれ,履修する科目は多い. しかし,大学院では履修しなければならない科目は少なく,勉学の重点が研究に移っている. 研究では知らないことを調べて自ら勉強し,自分の頭で考えながら未知の領域を開拓していく必要がある. 研究することによって,問題解決能力を身につけることが大学院教育の目標の1つである.

データで見る大学院就職率

大学院卒業生が研究・開発の仕事に就く率も学部卒業生に比べて高くなっている. 工学部・情報工学部と大学院工学研究科を卒業した学生の就職率と大企業就職比率は表に示すように, そのどちらも大学院卒業生が高くなっている.大企業が就職先として,必ずしも全ての学生にとって適しているとは思わないが, 企業が必要としている人材を大学院では数多く輩出しているといえる.

表 最近の就職率と大企業(資本金10億以上)就職比率

年度

2008

2009

就職率

就職率

大企業比率

就職率

大企業比率

工学部・情報工学部

97%

34 %

80%

21%

大学院工学研究科

100 %

53 %

92%

47%

大学院生の経済的支援制度

4年間で就職するところを,さらに2年間(修士)授業料を納める必要があるが,経済的な支援が数多くある.
■日本学生支援機構奨学金(機構奨学金)第1種(無利子)月額8万7千円
■日本学生支援機構奨学金(機構奨学金)第2種(有利子)月額5,8,10,13万
■本学特待生制度
■中西奨学金
■タイガー奨学金
■小野奨学金

◎ティーチングアシスタント制度:週1時限で一回4,200円(複数科目担当可)
※1.機構奨学金は金額と人数が多いので,希望すればかなりの率で採択される.
※2. 第1種の機構奨学金については返還免除制度あり。 (返還免除申請者の約半数が,全額か半額返還免除、 返還免除の順位は成績や研究業績で判定)