Education

大学の役割として,学生が社会人として活躍していくための基礎力や実践力の育成も重要です。 本研究室で取り組んでいる教育支援について紹介します。

CE国試対策アプリ:LinCo

臨床工学技士国家試験対策アプリ(LinCo)の開発

 本学医療科学科は,臨床工学技士を養成する大学の1つです。 本学科では,Moodleを利用したe-Learningシステムなど充実した学習環境とコンテンツを整えてきました。 今回,新たに,臨床工学技士の国家試験対策として,Tablet PCで学習できる教育アプリケーション(アプリ)の開発を進めています。 アプリ開発は臨床工学技士を目指して勉強してきた研究室の学生が中心となって開発しており, 学生目線に立った,とても利用しやすいアプリとなっています。 開発当初は,主にAndroid OS用のアプリのみを開発してきましたが,本学学生からの要望が高いiOS用のアプリ開発も進め, 現在では,本学学生用のLinCo OECUや一般利用者向けのLinCoがApp StoreやGoogle Playからダウンロード可能となりました。
 左の図はアプリを立ち上げた後の画面であり,問題の出題方法や学習履歴,設定などをボタンで選択していきます。 右の図はアプリ利用における直近問題の正答率をレーダーチャートとして可視化できます。 まだまだ,開発途中ではありますが,将来的には統計データ収集機能や, 教員による成績管理機能,アプリの継続的な利用を促すシステムなど,より充実した機能を実装する予定です。

LinCoのアプリ画面と学修効果の測定の図

ME2種対策アプリ:MeTwo

第2種ME技術実力検定試験対策アプリ(MeTwo)の開発

 本学医療科学科では,医療と工学を幅広く学べる学科です。 本学科では,Moodleを利用したe-Learningシステムなど,充実した学習環境とコンテンツを整えてきましたが, 今回,新たに,第2種ME技術実力検定試験(ME2種)対策として,Tablet PCで学習できる教育アプリケーション(アプリ)の開発を進めています。

カプノメーター

二酸化炭素濃度測定器の製作

 カプノメーターは,我々の目には見えない電磁波(赤外線)を利用して,二酸化炭素(CO2)濃度を計測します。 日坂研究室では,小型かつ堅牢なカプノメーターを開発するために,簡易なCO2濃度計測システム(左の写真)を構築しました。 CO2は波長4.3 µmの赤外線をよく吸収するため,赤外線を発する光源と波長4.3 µmの赤外線をピンポイントに検出できる赤外線検出器とを対向させ, その間にCO2や呼気を送風可能なチューブを配置しています。 赤外線検出器からの微弱信号をオペアンプで増幅し,オシロスコープで測定した時間波形が右の波形です。 高濃度のCO2が赤外線光源と検出器との間を通ると,赤外線がCO2によってたくさん吸収されるため,赤外線検出信号が低下しています。 その後,チューブからのCO2排出を停止すると,赤外線光源と検出器の間のCO2濃度は徐々に清浄空気の状態に戻り,それとともに赤外線検出信号も徐々に増加しています。
 日坂研究室にて開発してきたこのCO2濃度計測システムは,医療科学科で開講する「生体計測装置学実習」でも活用し, 赤外線を用いてCO2濃度を計測できる仕組みを受講生にも理解してもらえるように展開する予定です。

二酸化炭素濃度検出システムと呼気中二酸化炭素濃度に対する時間波形の図

パルスオキシメーター

マイコンでパルスオキシメーターを製作

 日坂研究室に配属された学生に,回路製作や半田付け,マイコンによるプログラミングの基礎力をつけてもらうために, 本研究室で設計した簡易パルスオキシメーターの製作を実施させています。 回路製作では,光源用回路,光検出用回路,データ表示用回路の3つの部分からなります。 それぞれの回路が完成すると,Arduino(マイコン)を利用してプログラミングし,回路が正常に動作するか確認させています。 回路製作が終わると,測定時間波形から酸素飽和度(SpO2)と心拍数(HR)を算出するプログラミングをしてもらいます。 時間波形から,最大値や最小値,波形の周期を求める必要があり,プログラミングに慣れていない学生にとっては難関な課題です。 また,算出したSpO2やHRの数値を表示器(7LED)に表示もさせる必要があり,完成までにはかなりの時間を要します。
 右の写真は試作したパルスオキシメーターです。写真は試作したパルスオキシメータで心拍数(Hr)を測定した結果です。 1分間の心拍数が68回と表示され,きちんと心拍数を測定できています。

光検出回路例と自作パルスオキシメーターによる心拍数表示の図