CROSS TALK

なぜ今、建築・デザイン学部が
求められるのか?

特別対談

竹中工務店

TAKENAKA CORPORATION

大阪電気通信大学

Osaka Electro-Communication
University

清水弘之氏と上善恒雄教授

デジタル技術と
自由な創造力で
建築を変えていく。

清水 弘之

株式会社竹中工務店
常務執行役員

[ 左 ]

一級建築士。他社ソフトウェアとの連携も可能な「OPEN BIM」の推進など、建設業界のデジタル化を最前線でリードし続けてきた人物。2022年3月より常務執行役員に就任。2023年3月より夢洲開発本部MICE/IR推進室長を兼務。

上善 恒雄教授

大阪電気通信大学
建築・デザイン学部長

[ 右 ]

博士(工学)。研究テーマは「環境情報デザイン」「情報と教育」。2004年4月より大阪電気通信大学に教授として着任。所属学会は、電子情報通信学会、情報処理学会、日本データベース学会、日本建築学会、ACM。

日本の建築業界は、
これからどのような進化を遂げていき、
そこには
どのような能力や考え方を持った
人材が必要とされているのでしょうか?
我が国を代表する大手建設会社のひとつ、
竹中工務店の清水弘之常務執行役員と
建築・デザイン学部の上善恒雄学部長に、
語り合ってもらいました。

業界のデジタル化を
リードする
人材が、
強く必要とされている。

清水BIMを中心としたデジタル化の推進により、建設業は今、大きな進化を遂げようとしています。デジタルデータを共有しながらの協業で、多くの協力会社をはじめ、関わる人たちみんなに利便性や生産性の向上をもたらすことができます。とは言え、これまで「建築の分野でのデジタル教育」に本腰を入れてきた大学はほとんどありません。ですからこちらの新学部には、従来の建築教育と次代に求められるデジタル技術とを融合し、新しい解決へと導く人材を育ててもらえれば、という大きな期待を寄せています。

上善ICT教育に強い本学に新設される建築・デザイン学部として、その点には使命感を抱いています。少なくとも学生たちには「ツールとしてコンピュータを使いこなすのが当たり前」という環境で建築を学んでもらいます。

清水そういう新しい常識のなかで育った人たちを、どんどんこの業界に招き入れたいと考えています。つい古い常識にとらわれがちな世代に刺激を与え、「変わらなければ」という空気を作り出してほしいと願っています。

上善実際、これからはデジタルのスキルがなければ、建設会社で活躍するのは難しいと言えるのではないでしょうか。

清水特に大型の案件は、扱う情報のボリュームも膨大ですからね。デジタルの力によって建設時のエネルギー効率やCO2排出量なども正確にシミュレートできるようになっており、そうした今の時代の課題と向き合っていくうえでも、デジタル系のスキルはマストです。

上善恒雄教授
ドローン

自由な創造力を発揮できる
人材が
新しい時代の
「答え」を導き出す。

上善新学部の建築専攻ではデジタル教育に注力しながら一級・二級建築士の受験資格取得がめざせ、一方の空間デザイン専攻では部屋の中から都市空間や仮想空間まで、広い視野で学べるカリキュラムを整備しました。建築は、工学・芸術・デジタルなど多様な分野の融合。そのなかで学生自身が特に興味ある分野を、空間デザイン専攻では自由に突き詰めていくことができます。

清水日本の建設業は、安全性能などの工学的な制約を先に考えて、その縛りのなかで作っていくというやり方を得意としてきました。でも、もっと自由度の高いクリエイティブな発想からスタートすることも大切。新学部の自由でのびのびとした学びによって、「建築工学の常識からしたら誰もこんなこと考えないよね」といった視点から、新しい答えを見つける人が生まれるかもしれないといった期待を抱いています。

上善全員が一級建築士をめざさなくてもいいと考えています。建築業界にも多様な能力や創造性を持った人材が必要であり、それらが交わり合うことで新しい何かが生まれると考えています。

清水弘之氏

従来の建築学の枠に
とらわれない自由な
学びの
環境からブレークスルーを。

清水電通大にはデジタルゲーム学科がありますが、ゲームの映像を組み立てて作り上げていく技術は建築の領域にも活用できると、私はずっと考えていました。しかし建築の領域では、そうした考え方にもなかなか興味を持ってもらえませんでした。そういう意味でのブレークスルーにも期待が持てます。例えばデジタルツインなどの魅力的な世界を作り上げていく力も、今までの建築教育だけでは育てられないと思います。

上善新学部には、デジタルゲーム学科で空間デザインを教えていた教員や、3DCGによるシミュレーションを用いた都市計画を専門とする教員、海外でプロダクトデザインに携わっていた教員などが所属し、「なんでもアリ」と言えるくらい多様な教育が行われます。

清水研究室の仕切りが取り払われたオープンなラボというのもいいですね。

上善そうなんです。学部・学科の枠を超え、ネットワークを研究している学生やハンダごてを持ってロボットを作っている学生がすぐそばにいて、刺激を与え合っています。

清水実際に今の建設業でも、タワークレーンの遠隔オペレーションなど、ロボット工学の技術が必要とされています。そうした建築以外の分野の学びに、意図せずに「ふと出会える」環境は素晴らしいと思います。新しい建築教育からどんな人材が育ってゆくのか、本当に楽しみですね。

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