朝起きてから夜眠りにつくまで、スマホのない生活は考えられないほど、私たちは情報システムの中で暮らしています。便利な反面リスクもあり、知識やスキルがないと困ることも。
小関特任講師は、こうした情報化社会の中で必要な知識やスキルを無理なく楽しく身につけるための教育について研究し、ソフトウェアの開発や授業資料作成に取り組んでいます。
スマホがあれば、連絡・SNS・動画視聴・買い物まであらゆることができます。ただ、今でもコンピュータへのキーボード入力は、情報活用能力に欠かせないスキルであることに変わりはありません。キーボードによる文字入力ができるかどうかで、生活の質に差が生じることがあります(情報格差)。
こうした現状を受け、小関特任講師の研究チームは、文字入力の基本であるタイピングスキルを自分のレベルに合わせて練習できる「タイピング練習サイト」を開発しました。練習サイトはWebアプリケーションのため、ユーザーが自分のパソコンにインストールする必要はありません。またログイン時に学生番号を使用することで、学習者も教員も練習状況や上達度の変化を継続的にサイト上で確認することができます。
最初の練習モードは「ポジション練習」。速く正確なタイピングには、どの指がどのキーを押すかという「ホームポジション」を覚える必要があります。画面に表示された文字や記号60文字を60秒以内で90%以上正しく打てるとレベルクリア。この練習モードにはホームポジションの人差し指だけを使う「たまご」、中指と薬指を追加した「ひよこ」、全ての指を使う「にわとり」と3つのレベルがあり、あわせて約30の練習問題が設けられています
また、この「ポジション練習」の後はローマ字での「単語練習」。さらに最大200字の「文章練習」で構成。実際に本学の情報教育でも導入され、ゲーム感覚で学べると学生からも好評です。
小関特任講師らは、練習データを収集し、解析することで、今後さらに改良を加えていく予定です。
SNSなど多くの人が情報を互いに提供しあうインターネットの世界は、リアルな人が集う公共の空間と同じ。このネットの世界で形成されたルールやマナー、モラルを全て含めて「情報倫理」といいます。
「ルール」は、お互いが気持ち良く過ごすために守るべき約束ごと。これには法律も含まれるので、守らないと罰されることもあります。「マナー」は礼儀作法のようなもので、 知っておくべき常識に該当します。これに対し「モラル」は、善悪の判断なども含まれてきます。
小関特任講師は、情報倫理を理解するために、まずは授業で最初に「SNSでデマと思われる書き込みを見つけたらどうするか?」といったSNSの問題を出題。身近な例題から「何がベストな判断なのか?」を考えていく、というアプローチで授業を進めています。
情報は簡単に複製され拡散するので、その影響に対して責任を取ることは難しいのが実際です。またデマであっても、事実であっても、その情報を書かれた人が名誉を傷つけられたと感じたら「名誉毀損」にもなりえます。相手に迷惑をかけるだけでなく、軽い気持ちで拡散した書き込みがデジタルタトゥーとなって、就職活動など未来の自分に不利益をもたらすこともあります。
今回の問題の正解は、何もしないこと。ネット社会にあふれる情報の中で、情報の真偽を確認することは極めて難しいことです。書かれた情報に反応し、アクションしたことが、思わぬ結果を呼び寄せてしまうリスクについて知り、「自分や周囲の人を悲しませないために」と考えるようになることが、情報倫理を身につける要となります。
コンピュータの能力が人間を超える「シンギュラリティ」。近い未来、それがやって来るといわれています。AIに仕事を取られるといった悲観的な見方もありますが、うまく活用して人とAIが棲み分けられれば快適な社会が実現します。
まずは自分自身が知識と技術を身につけていくことで、変化する未来に備え、一人ひとりが情報社会の主人公として生活していけるようになるでしょう。
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