今やどのジャンルでも重要視されるクリエイティブな発想力。ビジュアルアートや現代美術を専門にする金村教授は、それらの基礎となるデッサンや、空間の要素を取り入れ完成するインスタレーションなどについて指導しながら、作家としての活動にも精力的に取り組んでいます。
金村教授の作品の1つ『Portrait』シリーズは、人物を撮影し、その撮影されたイメージをタイルに反射し映り込んだように見えるように合成したシリーズ。被写体は展示会場のオーナーや裏方など、普段鑑賞者が会うことのない人物で、作品の前に立つと自分と被写体が重なって映るように見えるインスタレーションです。インクジェットプリントとアクリル絵具を使った作品「Drawing for Centrifugation」(2016)は、回転することは「過去にいた自分」の虚像を追い続け一体化することで、自己を消滅させる行為ではないかという視点で制作されています。
近年作品制作のキーワードとなっているのが「移動と変質」。『Meat Entropy』(2018)は、豚バラ肉の片方から加熱し、肉から鉱物(炭)になっていくグラデーションを捉えた写真作品であり、『Body Rotation』は、さまざまなポーズをとった人体を回転させた時に生まれるフォルムを、3Dプリントした彫刻作品です。また青空をプリントしたスケートボードを庭園などに設置するプロジェクト『Thrash Entropy for The Garden』(2021)は、京都の寺院やコンセプトホテルで展示されるなど、さまざまな手法で作品制作に挑み続けています。
俯瞰して物事を見てそれをどう表現し、見る人にどう感じさせるか。クリエイティブなものづくりは、そうした思考の繰り返しであり、その経験はどのような業種であっても、クリエイションを使って仕事ができる糧となります。「絵を描く」力とは単に技術的なことではなく、例えば「策略を練る・企てる」という事を「絵(画)を描く」と表現することもあるように、そうした力を持つ人物を育み輩出します。
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