OTA Takuya
建築・デザイン学部 建築・デザイン学科 空間デザイン専攻 准教授
修士(工学)/一級建築士
大阪産業大学
建築設計/空間デザイン/建築ビジュアライズ

学生時代は金管楽器のテューバを担当。現在もアンサンブルコンテストに出場したり、依頼を受けて老人ホームや保育園などで演奏しています。子どもたちに人気の曲を調べて練習するのも楽しいです。

建築設計の意図を的確に伝える
建築ビジュアライズの可能性

注文を受けてつくる建築は、制作前に実物を見ることはできません。そこで重要になるのが、プレゼンテーションなどで建築設計の意図を的確に伝えるビジュアル表現。

太田准教授は建築ビジュアライズ(建築の視覚化)の可能性をテーマに、より効果の高いビジュアル表現を追究しています。

建築・空間が生み出す
期待感や高揚感を形にする

建築設計の現場では、何度もプレゼンテーションが行われます。設計コンペ時はもちろん、受注後も 基本計画基本設計実施設計などさまざまなタイミングで、クライアントに設計案の説明をします。その際、設計者の頭の中にある建築の全貌をクライアントに伝える重要なツールとなるのが、建築パースやCGなどによる建築ビジュアライズです。

IT技術の進化で、建築ビジュアライズにおいてもより高度なCG表現のほかアニメーション、VRを使ったリアルな表現も増えてきました。

太田准教授は、建築設計事務所で国内外の多様な案件の建築設計を担当してきた経験から、リアルさやきれいさだけでなく、建築や空間によって生まれる新しい風景への期待感や高揚感を付加価値として表現する重要性に着目。クライアントやそのニーズ、どの段階での説明かなど、状況に応じたより効果的な表現手法を探っています。

ビジュアルの認識の仕方や感じ方は人によって違うため、その差異を心理的な観点からデータ化。また、空気感がより伝わる表現にとって色、アイテム、アングルといった要素のうち何が重要なのかなど、具体的なテーマを設定して海外も含めたさまざまな事例を分析しています。

左)某教会のデザイン提案. 光と影による奥行き感を表現
右)Blue Moment. 一日の中でわずかにある青い世界に印象的なファサードを重ねた

FLOUR. 植物と工場跡、カプセルと廃屋を用い時間のコントラストを描いた


建築のDX化による
知覚の変化を研究

建築業界では、BIM(Building Information Modeling)と呼ばれる建物の設計や施工、維持管理に必要な情報を3Dモデルとして統合する取り組みが普及しつつあります。それ以前のCADも含め設計図面をデジタルで描くことは、利便性やデータ共有・活用の点で大きなメリットがあることは言うまでもありません。

その一方で、「スケール感」の欠如を指摘する声もあります。スケール感とは、ものの大きさや規模を感じ取る感覚のこと。CADやBIMではディスプレイ上で自由自在にサイズ変更が可能で、実際の寸法は数字で指定します。定規で実際に測り図面上の縮尺が一定の手描き図面と違って基準にするものがないため、スケール感覚が身につきにくいと考えられています。

太田准教授は、このような建築・空間のDX化による人の知覚の変化やその対応について研究しています。MRの技術を活用し、実空間の上に同じ空間をビジュアル化したVRを照射し重ね合わせます。そうすることで、実空間で生活しているときのスケール感がビジュアルに落としこまれ知覚が変化する様子を探ります。

また、このようなスケール感の変化、人によるばらつきをデータベース化することも検討中。仮想空間と現実空間の融合をより高度化する技術の基礎データとなることが期待されます。

仮想と現実の融合が進む世界で
人にとって心地よい場所とは!?

4D映画は、風や振動などリアルな感覚が映像とリンクして映像世界を広げます。一方、XR(VR、AR、MRなどの総称)技術の進展は、現実世界を大きく拡張しています。ビジュアルがつくりだす仮想と現実は、今後ますます重なり合っていくでしょう。
そこで今までとは違った人の感覚や認知が生まれるのは、当然といえるかもしれません。仮想と現実との融合した新たな世界で、人が心地よい場所を見つけられる技術が求められています。

お問い合わせ

各種取材や研究に関することなど、
お気軽にお問い合わせください