富士山や槍ヶ岳で山岳スキーを楽しむなど、スピードを感じるのが好き。かつてはバイカーでしたが、コロナ禍を機にサイクリングを始め、ロード・マウンテン・グラベル・ママチャリを用途別に乗りこなしています。下り坂で感じる風は最高です!
波の形、生物の体表の模様、群衆や惑星の動きなど、自然や社会には多様な「模様(パターン)」や「動き(ダイナミクス)」があります。
柳田研究室では、こうした現象を数式で表し、シミュレーションして、どのように模様や動きが生まれるのかを探究しています。
空を流れていく雲、街を行き交う群衆の動き、波の形、シマウマやヒョウなどの体表の模様などは、一見とても不規則で複雑で、ひと言で言い表せない印象を受けます。こうした複雑な動きや模様を数式で表すことをモデリングといいます。
たとえば、イモガイの一種であるタガヤサンミナシの表面には、大小の三角形が集まり、それがさらに大きな三角形を構成するフラクタル構造に似た複雑な模様が現れます。自然が作り出したこの模様は、実はセル・オートマトンと呼ばれる数理モデルによって生まれるバターンに非常によく似ているのです。
オートマトンとは、直訳すると「自動機械」という意味です。敷きつめられた各セルの値は、近接するセルと相互作用するような一定のルールに基づいて自動的に決定されます。多種多様なセル・オートマトンのひとつに「ルール30」という単純なルールがあります。これを何世代も繰り返すと、タガヤサンミナシの表面とそっくりな複雑な模様が現れるのです。この模様は、近接セルとの相互作用である局所的な「反応」と、模様が全体的に「拡散」するという2つのプロセスで変化していきます。この様子を数理モデルにしたものを「反応拡散系」といいます。
柳田研究室では、貝殻の模様のほか、行動変容と感染者数の変化、避難時の脱出行動など、さまざまなシミュレーションを行っています。
光速に近い運動や、原子などの極小の世界を除くと、物体の動きは全てニュートン力学によって記述できます。ミサイルの弾道計算も人工衛星の軌道も、ニュートン力学を用いて、現在の位置と速度を設定して予測した結果です。
ところが、動きが予測できない場合があります。たとえばパチンコ玉。同じしかけのパチンコ台から玉を発射しても、その行方はバラバラです。これは最初にパチンコ玉にかかるほんの少しの力の差で位置が少し変化し、進む方向が変わるために、結果に大きな変化をもたらすからです。物理法則に従って動いているにも関わらず、現在から未来を予測できない複雑な変化を「カオス」といいます。
このカオス理論の始まりとされるのが、3つ以上の天体の動きを考える「三体問題」です。2つの星が互いに重力をおよぼし合って運動する場合は、その軌道を予測することができますが、3つ以上になると予測できないことが、ポアンカレによって200年以上前に証明されています。
柳田研究室では、この「三体問題」をシミュレーションによって解析。ほかにも、バイオリンの音の再現など、身のまわりのさまざまな現象をモデリングし、シミュレーションと解析により、その成り立ちの謎について探求しています。
モデリングとは、何となく見ていた自然や社会現象にルールを見出す作業であるといえます。
ルールがわからなければ、コントロールの方法も見つかりません。つまり、モデリングは、人間関係から国際問題まで、あらゆる課題を解決するための基本姿勢。自分の人生を深く、豊かにしてくれる世界の見方です。
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