昔からSLが好きで、引退前に国内最古の「SL人吉」(58654)に乗ってきました。JR九州の機関車で熊本-鳥栖間を走っていましたが、ついに2024年3月で引退。蒸気の力で大きな息を吐きながら走る姿や、もの悲しい汽笛の声を聞くと、何か我々人間に近い存在のように思えてきます。巨大な煙を掃き出しながら一生懸命に坂道を登る様子を見ていると、思わず応援したくなります。
私たちの暮らしの中で必ず登場する四則演算。数の集合でこの演算ができる最もポピュラーなものが整数です。
岩瀬准教授は、この整数と同じような特徴や演算性質をもつ集合「環」について研究。また「数学教育のあり方」そのものについても研究し、立体認知力を高める教材を開発。教育現場に導入し、共同研究を進めています。
私たちが生活する上で「数」は必ず登場します。また「+、-、×、÷」といった演算も日々の暮らしの中で使っています。数の集合で、これらの四則演算ができる最もポピュラーなものが「整数」です。整数は「1,2,3…」だけでなく「0」や「-1,-2,-3…」といった数を含めた数の集合で、「+、-、×」の演算結果も整数になります。しかし、割り算では「2÷3=2/3」のように、必ずしも整数にはなりません。
整数と同じ様に「+、×」の計算ができ、いくらでも考えることができます。整数の特徴を整理すると「+、-、×」の演算ができ、0や1のが存在し、足し算に関する逆元(例えば-3など)が存在することや、それぞれの演算について結合法則や分配法則などの性質があることなどがあげられます。このように整数と同じ特徴や演算の性質をもつ集合を「環(カン)」といいます。環は四則演算のうち、割り算の結果が必ずしも含まれない集合です。
岩瀬准教授はこのような特徴をもった「環」について研究しています。環にはいくつかの種類があり、岩瀬准教授の専門は、Harada環や準Harada環の周辺の環に関する研究です。
Harada環は、原田学(大阪市立大学)が深く研究していたある興味深い性質を持った環に対し、大城紀代市(山口大学)が命名したものです。また準Harada環は、馬場良始(大阪教育大)と岩瀬准教授が定義した環であり、Harada環の一般化となっています。岩瀬准教授はHarada環を中心とした様々な周辺の環について調べています。
また、岩瀬准教授は「数学教育のあり方」についても研究しています。特に着目しているのが立体。2次元の平面図から、3次元の物体を正確にイメージする“立体認知力“を高める教育です。
たとえば、テーブルに置かれた正方形(立方体)の箱を見るとき、視覚的には、さまざまな錯覚が起こります。箱の面に対し、真正面から見た場合、箱は正方形にしか見えません。また、辺と辺がつくる角度も、見る位置や方向が変わると本来の角度である90°ではなく120°に見えることもあります。立方体のように見慣れた形状のものなら、錯覚であることを理解し、物そのものの形状を身誤ることはありませんが、正五角柱や星形錐など普段目にすることの少ない形の場合、初見で正確に形状をとらえることは難しいものです。
岩瀬准教授らのグループは、空間認識能力を養う教材として、3次元の最も単純なモデルである「結び目」に着目し、算数数学教育の現場でその効果を検証しています。
たとえば「結び目」には、外見上の形などが違っているのに、変形するうちに同じ形になるものがあります。逆に、どう変形しても同じ形にならない事もあります。小学校では、この単純な結び目に潜む不思議さが子どもたちを夢中にさせ、図形への興味を引き出しているとのこと。
中学校の先生たちと共に研究している「結び目」の授業では、3人で手をつなぎ、どんなつなぎ方をしても必ず輪になるかどうか体験しながら考えたり、自分たちで決してほどけない手のつなぎ方があるかどうかを調べ、図面に書き出すという課題を行っています。3次元(体験)から2次元(図面)へ。またその逆の、図面から立体を再現する体験。思考と認知の相互作用を折にふれ行うことで、体感的な立体認知力を高めてゆくことが目標です。
図形の問題というと、面積や角度を計算した記憶がありますが、岩瀬准教授は、これからは立体の位置関係を子供たちにどのように理解させるかということに、もう少し時間をかける必要があると考えています。
上下反転したらどうなる? 逆さからみたなどう見える?など。図形を見る力をどのように育てるかという部分は、現行までの数学教育に欠けていた部分ではないかと考えて,結び目オブジェクトの教育現場への教材化に向けて研究を行っています。
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