お酒と野球観戦が日々の癒やしです。熊本出身で昔は焼酎専門でしたが、大学院時代の指導教官の影響で日本酒の美味しさに開眼。最近はハイボールなども嗜み、お酒全般を楽しんでいます。また、休日に家族となんばグランド花月を観に行くなどお笑いも好きです!
銀河は数千億個の星と大量のガスや塵などで構成された天体です。その中で、分子ガス(水素分子が主成分)の塊である分子雲から星が誕生することがわかっています。しかし、分子雲から星がどのように生まれるかについては、その詳細はいまだ明らかになっていません。
前田テニュアトラック講師は、電波望遠鏡で分子雲を観測し、得られたデータの分析によって銀河における普遍的な星形成モデルを探求しています。
宇宙に存在する銀河は、その形状や構造によってさまざまなタイプに分類されています。銀河には分子雲 と呼ばれるガスの塊があり、その中から星が生まれてきます。
前田テニュアトラック講師が研究テーマとしているのは、棒渦巻銀河。太陽系を含む天の川銀河と同じ形をした銀河です。銀河の中心に棒のような形をした部分(棒部)があり、その周囲に渦巻き状の腕(渦巻腕)が広がった形状をしています。棒渦巻銀河の面白さは、棒部に分子雲が存在するにもかかわらず、星の形成が抑制されている点です。
前田テニュアトラック講師は、棒部で著しく星形成活動が抑制されている棒渦巻銀河を対象に、アルマ望遠鏡と野辺山45m電波望遠鏡で分子雲を観測して解析。その結果「分子雲の高速衝突によって星形成が抑制される可能性」を観測的にはじめて明らかにしました。
さらに約20天体の棒渦巻銀河についても同様の観測を実施。「棒部での分子雲の衝突速度が大きいほど星形成が抑制される」ということを発見しました。これにより「分子雲衝突モデル」と呼ばれる星形成モデルの理論補強に貢献しました。
前田テニュアトラック講師の研究の独創性は、星形成が活発な領域だけではなく不活発な領域も対象にしている点にあります。
最新の理論研究では、分子雲衝突によって誘発される星形成の規模は「衝突速度」だけでなく衝突する分子雲の「質量」にも依存していると考えられています。
前田テニュアトラック講師は、この予想が実際に成り立つのかどうかを調査するため、棒渦巻銀河に対して行った観測手法を他のタイプの銀河へ拡大していく計画です。
具体的なターゲットは、秒速100kmものスピードで銀河同士が衝突している「衝突銀河」と、銀河衝突の際にガスの一部が潮汐力によって放出されてできる潮汐尾にそって誕生した低質量銀河の「潮汐矮小銀河」です。どちらの銀河も棒渦巻銀河とはまったく異なる環境ながら、分子雲が存在しつつ星形成が抑制されている領域があるため、比較検証を行いやすいのです。
衝突銀河と潮汐矮小銀河でも、棒渦巻銀河と同じ機序で星形成が行われていると観測されると、分子雲衝突モデルの普遍性の補強につながります。また、分子雲衝突モデル以外のメカニズムで星が誕生していると観測されれば、新たな星形成理論モデル構築の糸口になります。
分子雲衝突は日本人研究者が積極的に取り組んでいるテーマであり、日本の天文学研究の強みの一つになっています。
もし分子雲から星が生まれるメカニズムが解明できれば、銀河がどのように成長・進化を遂げてきたのかを理解する大きな手がかりとなります。まさに、天文学を飛躍的に発展させる可能性を秘めた研究でもあるのです。
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