TAMIDA Taichiro
工学部 電気電子工学科 教授
大学院 工学研究科 電子通信工学コース 教授
博士(工学)
東京大学
パワーエレクトロニクス / パルスパワー応用技術
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クラシック音楽を聴いたり、たまに大学時代から始めたクラシックギターを弾いたりしています。音が複数出せるのでソロで弾いても楽しく、からだに近いところで弦の音が鳴るのがギターの魅力です。

パワーエレクトロニクス技術を
幅広い分野で生かす

脱炭素社会の実現を目指すには、電力を上手にムダなく使うことが大切です。そこで注目されているのが、電力を各機器が使いやすいように変換したり制御したりするパワーエレクトロニクスという技術です。
民田研究室では、電力の変換・制御技術をさまざまな分野へ応用する研究を進めています。

回路技術で電圧をコントロール 
200倍以上の高電圧を実現

日本の家庭やオフィスには、100Vや200Vの交流の電気が届けられます。家電に搭載されているICは数V程度の直流の電気で動くため、家電の電源では交流を直流に、さらに必要な電圧に変換することが必要です。

このように電力を変換・制御するパワーエレクトロニクス技術は、電気自動車や新幹線など社会の幅広い分野で使われています。エアコンなどの家電においては、電力の最適な制御によって大幅な省エネ化に成功しています。

民田研究室では、パワーエレクトロニクスの回路技術を研究しています。回路内で特定の周波数が増幅される共振と呼ばれる現象を活用して、高電圧や高周波などが効率よく出力できる回路を開発。200倍以上の高電圧を実現しました。

トースターや扇風機など、家電製品の多くは直流で動くため、半導体で用途に応じた電気の種類(交流・直流)や大きさ(電流や電圧)を変えている
日常生活の中で幅広く活躍するパワーエレクトロニクス
左)写真は試験装置の外観。インバータ回路からコイルまですべてが学生たちの自作
右)バリア放電の様子。平板の間に細かい放電が大量に発生する

電気で食品を殺菌する!? 
食品加工の常識を変える研究

パワーエレクトロニクス技術の発展に伴って、電気エネルギーを圧縮し瞬時に大きな電力を取り出すパルスパワー技術の産業への応用も期待され始めています。

民田研究室が、環境科学科・齊藤研究室と共同で取り組むのが、マイクロ秒以下という一瞬の間に高電圧をかける高電圧パルスを、食品の殺菌や加工に応用する研究です。高電圧パルスで細胞膜を破壊し細菌を死滅させるのが、殺菌の基本的な原理です。加熱せずに殺菌できるため、食品の変質を防ぐ効果が期待できます。

また、果物などをつぶすことなく成分を抽出できる技術も研究中。ラズベリーの葉から抽出したポリフェノール量が最大5倍程度増加するなど、有効成分をより効率的に抽出できることがわかりました。

新しい食の創造から宇宙開発まで!?
パワーエレクトロニクスの超パワー

パルスパワーによる食品加工の技術がさらに進めば、食品を入れると一瞬で食感を変えてしまう、まったく新しい電子レンジが可能になるかも。また、パルスパワーは、人工衛星の姿勢制御などに使われる推進装置にも応用されています。打ち上げ後、太陽電池から得られる電力で人工衛星をどこまで効率よく動かせるか、技術開発が進行中。
食の世界から宇宙まで、電力の変換・制御技術は、いろんな豊かさを開拓するパワーを秘めています。

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