TOMIOKA Akihiro
工学部 電気電子工学科 教授
大学院 工学研究科 電子通信工学コース 教授
理学博士
東京大学
環境に優しい有機材料を使った導電発光素子
researchmap◀ 詳しい研究内容はこちら

食べること、飲むこと、そしてスポーツが好きです。料理はイタリアやスペインなどの地中海料理、お酒はワインからウォッカまで、強めのものもOK。スポーツなら、プレー歴の長いバレーボールで学生との親睦を深めるべく一緒に楽しんでいます。

これからの主流「ワイヤレス」を
サポートする技術を研究

人類は今、かつてないピッチで、持続可能な社会への取り組みを進めています。電気・電力分野でも環境負荷の低い電力を作り、温室効果ガスの削減に向けて大きく変わろうとしています。
富岡研究室では、環境負荷の低減と、温室効果ガス削減に大きく貢献するワイヤレス給電の実現に向け、その基礎研究に取り組んでいます。

電力を効率的に共有するための2大キーワードは
「固体電池」と「ワイヤレス給電」!

かつてない規模で進む気候変動。その原因のひとつが、自動車の排気ガスを含む温室効果ガスです。持続可能な社会をめざし、自動車はガソリン車からEV(電気自動車)に移行中。ここで問題になっているのが、EVへの電力供給です。

現在、EVバッテリーにはLIB(リチウムイオン二次電池)が使われています。しかし、現状のLIBは液体電解質を用いているため重量が重く、重量当たりの走行距離が短いのが欠点です。

この問題を解決するべく、現在LIBの電解質を完全に固体にした全固体LIBの開発が進められています。さらに車体を軽量化する技術として、外部からのワイヤレス給電があります。実現すれば、充電することなく半永久的に連続走行が可能になります。またワイヤレス給電のインフラ構築も進展中。EVを停車させて使用する、現在の充電スタンド(有線)ではなく、高速道路からの電波などによるワイヤレス充電で、高速道路を走行するEVに直接給電するという未来計画です。

こうしたワイヤレス給電の流れは、自動車といった大きな電力だけでなく、スマホの「置くだけ充電」など、ごく少ない電力を使うデバイスから実装化が始まっています。

現在、普及しつつあるのが、RFID。導入した某大手アパレルブランドのセルフレジでは、商品をかごに入れたままで、一瞬でRFIDタグから商品名や品番・価格を読取り、レジ画面に価格が表示されるため待ち時間0で会計できます。このシステムは既に某外資系通販サイトにも導入され、倉庫内作業の合理化・無人化に貢献しています。

RFIDを導入すれば、レジで1点ずつ商品バーコードをスキャンする必要がなくなり、レジ前でお客さんが行列することもなくなる⁉

小電力のワイヤレス給電も急速に進化⁉ 
軽量化と薄型化でスマホもカード状に!

あらゆるモノがネット接続されるIoT社会を実現するには、モノを電源・電池から解放するIoTワイヤレス給電が重要なキーとなります。

富岡研究室では、このワイヤレス給電技術をフレキシブルエレクトロニクスに適用する上で重要となる基礎技術を研究しています。これが完成すれば、薄型軽量のRFシートアンテナを搭載するだけで、無線電波によって電力と情報の両方をやりとりできます。電子回路を薄型で自由に曲げられるようにする「フレキシブルエレクトロニクス」の技術も向上しており、もうすぐPCやスマートフォン、テレビモニターなどは、シートのように薄く、丸めることも可能になると期待されています。

富岡教授は現在、折り曲げに強く、高い導電性を持つ銀ナノワイヤーを使ってシートアンテナの開発に取り組んでいます。このシートアンテナから超音波処理などによってバラバラの極細銀ナノワイヤーを剥離し、基板シートとともに再利用すれば環境負荷を低減し、温室効果ガスの削減にもつながります。

既にRFID規格に沿ったシートアンテナを試作し、市販のRFID送信機との送受信にも成功。これをワイヤレス受電アンテナとして超小型ドローンに搭載すれば、充電することなく半永久的に室内飛行することも可能に。工場などの夜間見回りなど実装化が期待されます。

また、シートアンテナの柔軟性を活かして腕に貼付ければ、激しい運動中もリアルタイムに生体情報を計測できる皮膚貼付型生体センサーが実現。こうしたウェアラブル機器も、電池残量や充電を気にすることなく、ワイヤレス給電で連続動作できるようになります。IoTワイヤレス給電システムが電化製品に浸透すれば、家の中からコンセントがなくなるのも夢ではありません。

RFID送信機 銀ナノワイヤー塗布アンテナを使ったワイヤレス給電の実現
RFID送信機からの電波を受信した波形

生体センサーとワイヤレス給電で
在宅しながらバイタルチェックができる!?

シートアンテナと生体センサーを組み合わせたウェアラブル機器があれば、充電のストレスなくバイタルサイン(体温・呼吸・血圧・脈拍・血中酸素濃度等)を24時間測定し、データを医療機関に自動送信するシステムが実現します。
心筋梗塞や脳出血といった突発的な病気の前兆など、異常があれば優先的に救急搬送されるなど、患者さんにとっても医療関係者にとっても早期発見、早期治療、さらには治療費の軽減とメリットが増えそうです。

お問い合わせ

各種取材や研究に関することなど、
お気軽にお問い合わせください