以前、甲子園球場近くに住んでいたころは、よく野球観戦に出かけました。最近はテレビ観戦ですが、いいプレーを観るとテンションが上がります。サッカーやバスケットなど見応えのある試合が増えて楽しみです。
AIの進化は、学習技術の進化を意味するといっても過言ではありません。「21世紀中には実用化されない」と言われていたAIが急速に実用化されるようになったのは、ニューラルネットワークと呼ばれる機械学習の技術が進化したから。
渡邊研究室では、様々なアプローチで学習技術の向上に挑んでいます。
研究テーマの一つは、カメラで撮影した画像を処理して物体を計測し、コンピュータ上に3次元の形状を復元するコンピュータビジョンという技術の高精度化です。製造ラインでの外観検査、文化財などのデジタルアーカイブ化など幅広い分野で求められています。カメラ画像による3次元計測や3次元形状の復元では、カメラ画像中の物体の位置と現実空間における位置との対応関係をより高精度にモデル化することが課題です。
渡邊教授は、コンピュータビジョンの中でも対象とカメラとの距離が変わっても、正確に形状を認識させる学習アルゴリズムを開発しています。
また、3次元形状の復元の際に、レンズ焦点距離、カメラの位置や姿勢、レンズのゆがみなどを計算に入れて微調整を行うカメラキャリブレーションの高精度化もテーマ。周囲の光の影響やヒューマンエラーによるノイズが多く含まれていても精度の高い認識がより速くできるアルゴリズムを研究しています。
また渡邊教授は、ゲームAI技術の開発にも取り組んでいます。ゲームAIには、長い目で見て最も価値が高くなる、つまりゲームに勝利することを目標に、試行錯誤しながら打ち手を学ぶ強化学習の技術が使われています。
研究室では、オセロAIを開発。AIは石を置ける位置やターンできる石の数などゲームの状態を認識して次に石を置く位置を決定します。その行動に対して報酬が与えられ、AIは総報酬がより高くなるよう指し手を決めます。ゲームを繰り返す中で、報酬の高い価値ある指し手を選択するようになります。
一方、ゲームの状態とその際の指し手の組み合わせは膨大で、現実的に計算は不可能になります。そこで、指し手の価値の推定にニューラルネットワークという人間の思考プロセスを再現した学習方法を取り入れ、より効率的に判断することを可能にしました。
また、盤面が回転したり、線対称、点対称になっていてもゲームの進行状況は同じだと認識するようなモデルを提案し、学習速度の向上やメモリ消費量の改善をめざしています。
2017年に登場した囲碁AIの新バージョンでは、棋譜データを学ぶことなく、コンピュータが自分自身と対局し続けることで強化されました。また囲碁AIは、新しい定石を生み出し囲碁の戦い方を変えたと言われますが、それは人が決めた定石を学ぶのでなく、対局データから定石を発見するからです。
人が見えていないモノ、気づいていないものを見つけ、人間には思いつかなかった最適解を導く。人を超えるAIの誕生もそう遠くないかもしれません。
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