HE Yiwei
情報通信工学部 通信工学科 准教授
大学院 工学研究科 電子通信工学コース 准教授
工学博士
東北大学
電磁波の数値解析 / センシングにおける電波の応用
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子どもの頃、ラジオ工作が好きだったことから電波研究の道に。その後も、ペットのカメのための自動餌やり器、ベランダの草花用にマイコンを使った自動水やり器を制作するなど腕前を発揮。

電気を運び、見えないものを見る 
電波を応用した技術の可能性を広げる

電波は電磁波の一種で、3テラヘルツ以下のものが電波と呼ばれています。
何研究室では、放射、伝搬散乱など電磁波のさまざまな現象がどのように起こるのか、そのメカニズムをコンピュータシミュレーションで解明。幅広いテーマの解析によって、電磁波活用の可能性を広げています。

動くドローンをどこまでも追尾して給電し続ける
アンテナシステムをシミュレーション

スマートフォンを置くだけで充電できるのは、電波で電力を送る無線電力伝送技術のおかげ。もっと遠くに大きな電力を届ける技術が開発され、IoTを支える各種センサーへの給電などの実用化が進行中です。

何研究室では、ドローンが長時間滞空できるよう、動くドローンを追尾して電波で電力を送るアンテナのシミュレーションを行っています。シミュレーションではアレーアンテナと呼ばれる複数のアンテナを並べた機構を活用。アンテナにかける電圧を変えることで、電波を特定方向へ送り、通信の安定性を確保するビームフォーミング技術を実現し、ドローンを追いかける仕組みの確立が目標です。現在、最も効率的に電波を受信できるアンテナの形状、配列を、数値解析によって探っています。

アレーアンテナを使ったドローン用無線電力伝送のシステム(イメージ)
地上のアレーアンテナ素子の給電位相を調節してドローンに向かって電波で送電する

地下に埋められた水道管のサイズや深さをAI判定 
機械学習に必要な大量データを作成する技術

何研究室では、電磁波の数値解析によるシミュレーションを、多様な分野に活用しています。

地下探査レーダもそのひとつ。老朽化した水道管やガス管の取り換えの際に、どんな深さにどんな口径・長さの管が埋まっているか、電波を対象物に反射させ埋設物を判断するなどの用途で使われています。また近年、期待されているのが、埋設物のサイズや埋設深度ごとに違う電波の反射波形をAIを使って判定する技術の開発です。

何研究室では、AIに埋設物を特定させるための機械学習に必要な、大量の反射波形データをつくる方法を、数値解析を駆使して研究しています。今後、遺跡の発掘など利用領域の拡大が予想される地下探査レーダの基礎技術としても期待されます。

地下に埋められたものを地下探査レーダで探査する.受信反射波を使って,深さやサイズを判定するにはAIの技術開発が不可欠.

数値解析より得られたアンテナの特性と埋設管の反射特性から高速に生成した埋設管の反射エコー

ワイヤレスで電気を送る技術の可能性は無限
暮らしを変えるだけでなくエネルギー問題も解決!?

無線で電力を送る技術は、今後、いろんな展開が期待できます。
たとえば、電気バスが走るようになれば、わざわざ車庫に帰らなくても、バス停に送電して停留中に充電できれば効率的。また、衛星を打ち上げて宇宙空間で太陽光発電を行いその電力を地球に送る「宇宙太陽光発電」、電気を送らなくても空間に飛んでいる電波を吸収して発電させようという「環境発電」と呼ばれる技術も、すでに研究が始まっています。

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