現代のインターネットは、40~50年前に設計された仕組みをベースに構築されています。このままでは、スマートフォンの普及やIoT機器の急増による膨大な通信データ量に対応できなくなるおそれがあります。
佐藤研究室がアプローチするのは、データの効率的な転送を可能にする次世代ネットワークの仕組みです。
現在のインターネット通信は、情報が置いてあるサーバーを探して情報を手に入れる、TCP/IPという方式が主流です。しかし、この方式だと、サーバーから情報がなくなっていたり、アクセスが集中してサーバーがダウンしたりすることも。
佐藤研究室では、サーバーを意識することなく欲しい情報そのものをリクエストするだけでアクセスできる、情報指向ネットワークと呼ばれる新しいネットワーク技術をテーマに研究を進めています。
スマートフォンのような持ち歩けるデバイスで動きながらインターネットを利用したり、4K、8K動画などデータ量の大きいコンテンツをやり取りしたりするような変化に対応した、効率のよいネットワークを実現しようという試みです。
情報指向ネットワークでは、欲しい情報を、動画や音楽、サイトなどコンテンツの名前でリクエスト。リクエストがコンテンツのある場所までネットワーク内で自律的に転送されていき、欲しい情報が送られてきます。送られてきた情報は経路上のルータにキャッシュが置かれ、同じリクエストに対してはより速く情報を得られるようになります。
情報にどんな名前をつけてどう探すのか、キャッシュの置き場や制御方法などの研究が進展中。全世界に広がるインターネットだけに一気に作り直すことは不可能ですが、まずはプロバイダネットワークなどの一部のネットワークに限るなど、部分的にでも新しいネットワークを稼働させることが目指されています。
佐藤研究室では、仮想のネットワークをつくって新ネットワークの機能を検証し、ネットワークの構造や通信の方式、実現するためのハードウェアを探っています。
情報指向ネットワークは、ガイドブックで調べて行き先を告げなくても、「観光名所」「おいしいイタ飯」などと言うだけでタクシーが連れて行ってくれるイメージ。キーワードで検索しなくても、ふわっとした名前の指定で情報に行きつける方法が模索されています。
また、セキュリティ面でも安心。サーバーをオープンにしないのでサイバー攻撃はできず、怪しいサーバーに行くことがないのでリスクも大幅に減ります。情報指向ネットワークなら、より安全に情報を取得することが期待できます。
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