SAKAI Ryuichi
情報通信工学部 通信工学科 准教授
大学院 工学研究科 電子通信工学コース 准教授
博士(工学)
京都工芸繊維大学
暗号理論および情報セキュリティに関する研究

週末等、3時間ほどの道のりをサイクリングします。河川の整備された道を走るので、いろんな野鳥が見られるなどの楽しみも多くあります。タイヤ交換等の整備も自分で行い、タイヤの空気圧は高めにして気持ちよく走っています。

不正アクセスや情報の抜き取りは許さない 
情報の安全性を守るセキュリティ技術研究

情報のやり取りで経済や社会が動く現代、リアルでもサイバーでも不正なアクセスを防いで大切な情報を守るセキュリティ技術の重要性は増すばかりです。
境研究室では、暗号や情報セキュリティ技術についての研究を行い、安心安全な情報社会を支える基盤技術の確立に貢献しています。

便利だけど意外と偽造に弱い生体認証 
安全性の高い顔認証システムをめざして

生体認証は、指紋や虹彩、顔など個人を特定できる生体情報を読み取り、あらかじめ登録してある本人の情報と照合させるセキュリティ技術です。一見安全性が高そうな認証方法ですが、指紋は意外と簡単に写し取れ、虹彩も高精細カメラで盗むことが可能です。

また登録された顔画像と目、鼻、口など各パーツの位置や大きさを照合する顔認証でも、写真などを使って顔画像を偽造される危険があります。

境研究室では、安価で偽造されにくい顔認証システムを研究。複数の照明を設置し、照明によって影ができた顔の情報も含めて照合させる方法を提案しています。違う照明を何度かランダムに当てるなど照合方法を工夫すれば、さらに偽造は難しくなります。

顔認証では、照明による影は画像認識の邪魔になるため、影ができないような照明にするのが一般的。それを逆手にとって照明でわざと顔に影ができるようにし、あらかじめ登録された影のある画像と照合。印刷した写真は立体ではないため同じ影はできず、認証されることはない

新しい暗号化技術「耐量子暗号」は大丈夫か 
安全性を評価する研究で技術の向上に貢献

暗号化技術もメインテーマの一つです。暗号化とは、データを決められた手順で書き換えて情報を読み取られないようにするセキュリティ技術。キャッシュレスサービスなどにも使われている重要な技術です。

暗号化技術で今最もホットなテーマは、量子コンピュータの実用化で現在使われている暗号が解読され安全でなくなってしまうという問題。それに対抗するため、量子コンピュータでも解読されにくい耐量子暗号の研究が盛んに進められています。

境研究室では、この耐量子暗号の安全性評価に取り組んでいます。暗号を解読するのに最も効率のよいアルゴリズムを探り、どの程度の安全性が実現できるのかを確かめています。

暗号化や復号に使われる特定のデータを「鍵」といい、暗号の鍵はビットという単位で表される。ビット数の多い(鍵長の長い)鍵ほど解読に時間がかかり安全性は高くなるが、あまり時間がかかりすぎると実際に使えない暗号になってしまう。耐量子暗号の安全性評価では、アルゴリズムと鍵長の両面から暗号にどんな安全性があればよいのかを探ることになる

セキュリティを意識しなくてもよくなる!?
使い勝手のよい暗号化技術はいつ実現するか

「セキュリティ技術とハッキングはいたちごっこ」と思っている人も多いかもしれません。しかし実際は、利用者に便利に使ってもらうために安全性を少し犠牲にする、その隙に付け込まれることが多いのです。現在のセキュリティ技術は、それほど利用者にとって不便なものだというわけ。
もし使い勝手のよい暗号化技術が実現すれば、セキュリティ意識がなくても情報を盗まれる危険のない、バラ色の情報化社会が到来するかもしれません。

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