KITAJIMA Akira
総合情報学部 情報学科 教授
大学院 総合情報学研究科 コンピュータサイエンスコース 教授
博士(工学)
大阪大学
VLSI工学 / 計算機設計工学 / 組み込みシステム設計

最近は家で家族と過ごす時間を大切にしていますが、独身時代はスポーツカーでドライブにでかけるのが楽しみだったとか。関西近郊でのおすすめロードは、丹後半島の海岸沿いの道だそう。

電気で動くあらゆる機器に搭載される
LSIのデジタル回路設計を高度化

パソコンやスマートフォン、ゲーム機、車、家電製品などあらゆる製品に搭載されているLSI。通信、画像や音の処理、センシングなどさまざまな働きをするLSIがデジタルシステムとして動いています。
北嶋研究室では、そのようなLSIをつくるデジタル回路設計をテーマに研究しています。

デジタル回路設計の効率化など
LSIの設計技術をテーマに研究

デジタル回路設計においては、デジタルシステムの規模が大きくなるにつれ人の手で回路図を描くことはできなくなりました。そこでハードウェアの記述言語を使ってプログラミングのように記述し、そこから自動的に回路図を生成するツールが開発されました。また、この設計した回路が正しく動作するかどうかの検証手法についても、自動化・高速化を目指して進化が進んでいます。

北嶋研究室では、こうしたLSIの設計技術をテーマに研究を続けてきました。ハードウェア記述言語よりも分かりやすく、記述量の少ないC言語などのプログラミング言語を使って回路設計を行う技術もそのテーマの一つです。

またデジタルシステムの中心となるマイクロプロセッサ(CPU)に、設計対象システムに合った新しい回路を追加して性能を上げることを支援する技術も、研究テーマの一つです。

特定用途向きプロセッサ
さまざまな電子製品で用いられるLSIは、その製品固有の働きをする。そのため、その製品で行われる処理を回路化してプロセッサ(CPU)と一体化することにより、汎用のプロセッサを用いたシステムを上まわる性能を得ることができる。このように、用途に合わせた機能を追加したプロセッサのことを特定用途向きプロセッサという

回路の中の動きを可視化する技術で
ハードウェアへの深い理解に導く

また近年は、回路図を自動的に描画するアルゴリズムの改善についても研究しています。

現在使用されている一般的な回路図は、モジュールや配線のつながりは理解できても、動作がどう進むのかはわかりにくくなっています。

そこで、北嶋研究室では回路内の部品が動作するタイミングを考慮に入れ、動作の流れも可視化できる回路図を描画するアルゴリズムの開発を着想。一見すればすぐに間違いを発見できるメリットや、デジタル回路設計技術の教育ツールとしての活用が期待されます。研究室ではさらに、LSI内部の動作をパソコンなどに表示して可視化するツールの開発アイデアも検討中。こうした取り組みによって、コンピュータハードウェアのより深い理解につなげたいと考えています。

自動生成される回路図(左)と北嶋研究室で開発中の回路図(右)
左)現在使用されている回路図。モジュールや配線が重ならずにコンパクトに配置されることに重点が置かれており、動作のタイミングが分かりづらいという問題が
右)北嶋研究室が手がける回路図なら、動作の内容(ブロックの役割)に基づいて各ブロックを配置するため動作が連動してゆくさまを視覚的に理解できるようになる
現在のデジタル回路の開発環境
設計者は、パソコンで動く設計ツールを利用して、ハードウェア記述言語で回路のプログラムを記述する。ツールの機能により、プログラムから回路のデータを生成できる。FPGAと呼ばれる書き換え可能なLSIがあり、そのFPGAを搭載したボードを用いて、自分で作成したプログラムをすぐに動作させてみることも可能

ソフトウェアは万能ではない!?
情報技術を支えるハードウェア人材を育成

情報技術といえばソフトウェアと結び付けて考えがちですが、ソフトウェアのできることには限界があります。膨大な情報の処理スピードを向上させたり、より複雑な動作を実現させたりするためにはハードウェアの工夫が欠かせません。
日本が今後グローバルな情報技術の開発競争を勝ち抜くためには、ハードウェアに強い人材の育成が急務。情報教育においても、常にハードとのつながりを意識し、関心をより深めていける手法の開発が求められています。

お問い合わせ

各種取材や研究に関することなど、
お気軽にお問い合わせください