KITAZAWA Masao
建築・デザイン学部 建築・デザイン学科 建築専攻 准教授
大学院 工学研究科 建築学コース 准教授
一級建築士 / インテリアプランナー
建築設計 / 建築計画 / 建築材料 / インテリア

シャツでもセーターでも、年中ネイビーカラーの服を着ています。その理由は大好物のカレーうどんのつゆが一番目立たない色だから。もうひとつの好物は音楽でドラムを担当。歌謡曲からフュージョンまでジャンルを問わず、バンドをかけ持ち中。天気の良い日には大型バイクを楽しむ行動派。

エンドユーザーへの想像力が
真に豊かな建築物の創造力になる

建築デザインは「意匠」と呼ばれ、本来は「意=思い」を「匠=創る」もの。しかし、大規模開発ではコスト管理や技術力が優先され「利用者のためにこんな思いを届けたい」という部分が後まわしになりがちです。
北澤研究室では、ひとの思いを汲む「愛のある建築設計」を教え、育てながら追究しています。

笑顔を生むコミュニケーションで
建築・設計に向き合うマインドを育てる

大手設計会社で数々の大規模開発に携わってきた北澤准教授。その経験から強く感じたことは、住宅の居住者や商業施設の利用者といったエンドユーザーの気持ちをもっとくみ取りたいということでした。5年先まで固めた長期計画をトップダウンで進めて売り出すのではなく、エンドユーザーと意見交換を重ね、今ここにある課題を解決しながら共同で行うボトムアップ型の設計手法。

今後の時代にふさわしい建築のあり方、その理想を思い描き、本学で教員となってからは「Create for Smile(=建築で人を笑顔にする)」をコンセプトに、さまざまなアプローチを重ねてきました。

たとえば、建築学科一期生からスタートした学生サークル「Create for Smile」。思い描いたのは、2期生、3期生と続く彼らの未来です。学年を超えた交流や設計コンペ等の技術伝承を目的とするコミュニケーションの場を創る。一見、遠回りに見えても、こうした活動をサポートすることが、結局は人を育てる最短で最良の方法だからです。

2019年度からは、知識や理論だけでなく、学生たちに“自分たちの作ったものが、人を笑顔にする”体験を重ねてもらいたいと、授業の中に地域貢献・地域連携活動を組み入れています。本学のキャンパスリニューアルに伴い伐採したポプラや廃材などを使用し、学生たちが自ら考え、設計し、形にしたものが地域の子供たちの笑顔を生み出す。この経験の積み重ねから、建築・設計の本質であるマインドを育てたいと考えています。

“子どもたちが笑顔になれる”インテリア
学生たちがデザインするのは“子どもたちが笑顔になれる”インテリア。完成した作品は毎年、本学に隣接する寝屋川市立中央幼稚園に贈呈し、みんながニコニコの笑顔に

寝屋川市・住宅供給公社との三者連携プロジェクトが
国交省のモデル事業として、本格始動!

2023年2月、北澤研究室の提案「香里三井団地『ニコニコのデザイン』プロジェクト〜公社と大学の連携による高経年団地のコミュニティ拠点づくりを目指して〜」の三者連携協定が締結されました。北澤准教授のサポートによって「Create For Smile」が取り組んできた「三井香里団地の再生プロジェクト」が、国土交通省の「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」に選出されたのです。これによって団地を管理する大阪府住宅供給公社と本学、その所在地である寝屋川市が、今後、公式に事業連携を図ることとなりました。

『ニコニコのデザイン』という名前には、サークル名に込めた想いと、公社の経営理念「笑顔のくらし」が重ねられています。国も注目する「オールドタウン再生のために、公社が大学等教育機関との連携するモデルとして期待される」育成型事業、今回事業化に踏みだしたことで、大学が担う社会貢献の新しい形も見えてきました。

北澤准教授が常に意識していることは、学生が主体となり、現状を知り、考え、提案し実践することの大切さ。このプロセスを繰り返しながら、時代に応じたアプローチを続けること。そしてそれらが常に住まう人の目線で実現してゆくことの大切さです。今後、この活動を学科や大学院の枠を超えた体制にまで広げられれば、より社会にリンクした活動になりそうです。

住民に向けてのワークショップなど
左)住民に向けてのワークショップの写真
「古きをたずね、団地を知る」をテーマに、建設から50年が経過した団地の魅力を知り継承することを目標に活動をスタート。「この団地を笑顔あふれる場所にしたい!」という強い意志のもと、現在は、街の歴史や成り立ちの研究と並行しながらプロジェクトを進めている
右)ヒアリングをもとに解決策を練り上げる
学生たちをランドスケープ・エクステリア・インテリア・ソフト等カテゴリごとにチーム編成。各チームが住民の方からヒアリングした内容を掘り下げ、解決策を考え抜いている

三者協定調印式と香里三井団地
左) 三者協定調印式(2023.2月21日)
右)香里三井団地
開発後50年が経過し建物の老朽化が進む香里三井団地。居住者の高齢化率は40%、空き家率は15%。「ここを魅力的な団地に再生させたい!」と願う公社担当者の想いと「ボトムアップ型のまちづくり」を目指す北澤准教授。さらに、ここに住まう人と学生たちが参加する新たなプロジェクトが始まっている

建築倫理を心に深く刻み、設計者の発言力を上げる
そうすれば、数十年後の都市風景は劇的に変化する

北澤准教授は、授業でも研究室でもエンドユーザーに思いを馳せ「人を、街をどうしたいか」を考え抜くことに注力しています。
建築倫理を備えた設計者が数多く生まれ、設計者の発言力が今以上に大きくなっていけば、「カッコ良くて最先端」なだけではない、人に優しいまちの風景が広がっていくでしょう。

お問い合わせ

各種取材や研究に関することなど、
お気軽にお問い合わせください