SASAKI Atsushi
建築・デザイン学部 建築・デザイン学科 建築専攻 教授
大学院 工学研究科 建築学コース 教授
修士(工学)/ 一級建築士
京都工芸繊維大学
建築計画・都市計画 / まちづくり計画・設計 / 都市環境デザイン

昔から健康増進にと、庭で育てた梅やレモン、柚子などからシロップやサワーを手作りしています。おかげで長生きしている老母も、少し前までは自ら育てた野菜を京都の鎮守の森のふれあい市でも提供。町づくりに関係した私も、そこで交わす地域の皆さんとのやりとりは大きな励みになっています(OECUまちづくり研究会・顧問)。

教育・研究・貢献の好循環で
地域と連携した多彩な取り組みを展開

まちはそれぞれ異なる魅力と課題を持っています。
佐々木研究室では、地域再生に関する教育・研究・貢献を同時に行いながら、まちと研究室が同じ問題を共有し、解決に向けて進んでいくための実践的な活動を行っています。

まちは、タテ×ヨコ×高さの3次元だけではない 
歴史・文化・地理・人が重なり合う多次元

佐々木教授は、40年以上にわたり、アカデミシャンとして、また、まちづくりNPOのアドバイザーとして京阪神の都市計画や地域再生に関わってきました。そのベースには、まちは単なる3次元空間ではなく、独自の歴史・文化・地理・人といった幾つもの軸で構成された場所であるという考え方があります。

本学のある寝屋川市を起点とする寝屋川は、淀川水系と生駒山系をつなぐ川で、市の北部〜中央部を迂回する形状になっていますが、これは秦氏による高度な治水・灌漑・防災技術によると考えられます。「川勝」「点野」といった秦氏や天皇にゆかりのある地名、数多くの古墳は、日本海〜大陸とのつながりも強かったことが伺えます。豊かな水郷、河川網による近郊型都市としての発達など、日本に誇る水系文化を育み、発展してきた歴史都市でもあるのです。

佐々木研究室では、マップづくり等をはじめとして市の魅力の普及に努めています。こうしたリサーチの経験から寝屋川市への興味と愛着が深まり、当地を初め出身地元のテーマを新視点で追求する学生も多く出ています(こうした研究室の取り組みは大阪府住宅供給公社と共に本学と寝屋川市との三者交流協定締結にもつながっています)。

寝屋川市マップ 
地域再生にはまちに暮らす人とのコミュニケーションが不可欠。それぞれの地域のもつ歴史や文化に目を向けてゆくと、地元への愛着が深まる

魅力や課題を掘り起こし
地域再生につなげる

佐々木教授が地域再生のために重要視しているのは、地域の人とのコミュニケーションです。地域再生に向けた活動は、最初、幼稚園や小中学校の先生方に働きかけ、商店街のお店を巡ってまちづくりの拠点を作るところから始まります。 小さな解決の芽があれば、学生はその課題を研究し、提案を行い、まずはボランティアとして寄り添っていきます。すると点と点がつながり、より大きなプロジェクトへと発展していくケースがあるのです。

寝屋川市から要望のあった地域の課題への取り組みに対し、たとえば、廃校予定の中学校敷地をコンサートホールとして再生するという提案や、高齢化する清滝団地に高齢者多機能福祉施設を設置するという提案など、地元の声を汲み取り、積極的に参画する実践的なカリキュラムを取り入れています。こうしたゼミ活動の積み重ねから門真市にある中学校跡地の再開発計画では、学生が新たなエリアマネジメント案をプレゼンテーションしました。

最近では、15年以上前に佐々木教授が携わった京都市立松ヶ崎小学校で、再び世代を超えたプロジェクトが始動しています。行政や建築の現場で活躍する当時の教え子と、現役の佐々木研究室のゼミ生たち、さらに学科1期生と共に立ち上げた「まちづくり研究会」の皆とが協働し、2023年度の創立150周年記念事業の成功に向けタッグを組んで活動し始めているのです。

ゼミの学生が制作した門真市再開発のプレゼンボード。地元の歴史・文化・地理を掘り起こして、丁寧に企画を練りあげている
佐々木教授の信条である教育・研究・貢献の三位一体チャート。大学が地域について学び愛着を持てるような学生を育て、研究活動を通して地域に貢献してゆく。このバランス・サイクルが大事

小さなスケールの課題を短期間で解決する
成功体験の共有が、まちのパワーに!

都市計画には大小さまざまな問題が山積しています。それら全てを一度に克服するのは至難の業。けれども、学校や商店街といった小さなコミュニティに視点を移すと、皆で共有できる課題が見つかり、解決への流れができます。
そのサポートを地元の大学が担うことは、地域再生の新しいスキームかもしれません。

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