脱炭素への取り組みが進む今、建物の省エネルギー化も重要な課題になっています。
添田研究室では、住宅などの省エネルギー性、快適性の向上を目指した研究を進めています。エコと快適さを両立する建築設計はもちろん、建築環境の見える化による省エネ意識向上にも役立ちます。
添田研究室では、添田准教授の恩師が開発した室内の熱の流れを解析するオリジナルソフトを教育や研究に活用しています。このソフトでは人間が感じる温熱に対する快適性を評価したり、ルームエアコンなど空調機器のエネルギー量を評価することができます。
研究テーマの一つは、空調の省エネルギー化です。エアコンのエネルギー消費量や効率は、屋外や室内の温湿度、やエアコン内の冷媒ガスの温度などさまざまな要因が複雑に影響して、刻一刻と変動しています。その動きを機械学習によって予測し、シミュレーションを実現するのが目標。エアコンの効率の変化がユーザーの目に見えるようなものになれば、少しでも無駄のない使い方につながるのではないかと考えています。
添田研究室では、エアコンのほかシーリングファンや夜の涼しい空気を取り込んで蓄冷するナイトパージなどの空調設備の検証も行っています。検証実験では、温湿度、風速などのデータを測定する各種のセンサーで、設備による効果を見極めます。さらに、IoTによる「見える化」もテーマの一つで、教室内のCO₂量や温湿度を測定し空気の質や温熱環境の最適化を研究しています。
また、IoTの建築への応用としては、水道の水を出した時の音をセンサーで拾い、高齢者の見守りに活用するユニークな研究も行っています。今後はトータルな視点によるエコ建築の実現が目標。建築材料の調達から廃棄までのライフサイクルにおいて排出するCO₂量をBIMに取り込む研究なども始めています。
持続可能な社会に欠かせない省エネですが、機器や設備の進化とともに大事なのが暮らす人の省エネ意識と言えるかもしれません。快適な室内環境かどうかを「見える化」すれば適切な空調機器の調節につながりそう。
人が感じる快適さの指標には気温、湿度、風速、熱放射があります。こうした快適さには代謝量や着衣量も関係しているとか。住んでいる家や年齢や運動量、服装などに応じた「本日のおすすめ空調」がわかると、省エネで健康にもよい暮らしが実現しそうです。
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