できるだけ速く山頂を目指すファストハイクに夢中で、目標は日本百名山制覇! というのは表向きで、本当の目的は下山後ゆっくり温泉に浸かること。クロスカントリー(国体5回出場)で培ったバランス感覚を活かしてスノボのスキルアップにもチャレンジ。上達の手応えを感じています。
スポーツの上達のコツやレクリエーションの楽しさなどは、現場の指導者・支援者の勘と経験に委ねられることがほとんどで、客観性を持つエビデンスが確立されていません。
中井教授は、誰もがより楽しくスポーツやレクリエーションに取り組むことができるように、コンピュータによる動作分析、心身の健康面での効果の検証を通して新たなアクティビティの開発に挑んでいます。
ニュースポーツは、誰もがすぐにルールを覚えてプレーすることができる新しいスタイルのスポーツです。競技スポーツのように勝敗にこだわるよりは、楽しむことを重視しています。中井教授は、科学的なアプローチでニュースポーツの普及を推進しています。
たとえば、アメリカ発祥のアウトドアゲーム「ラダーゲッター」。ひもで繋がったボールを7.5メートル先のラダー(小さなはしご状のまと)に投げて引っかけ、点数を競うゲームです。当然ですが、プレーヤーはボールがかかるように投げることができると、達成感や楽しさが感じられます。
中井教授は、スポーツバイオメカニクスの見地から、ボールがかかりやすい投げ方を研究。動作分析やコンピュータシミュレーションを通して、エビデンスに基づくノウハウをニュースポーツの指導者に幅広く共有しています。
「ロゲイニング」はオリエンテーリングと写真撮影を組み合わせた新しいスポーツです。中井教授は、ロゲイニング参加者にどんな点が楽しかったのかを調査して、「楽しさ」を測る新しい尺度を開発しました。この評価法によって、参加者は同じように一緒にレースをしていても、楽しさの感じ方がそれぞれ異なることがデータ上も明らかになりました。こうした「楽しさの多次元的構造」を、大会を提供する側がより深く理解していれば、効果的なPR活動を行うことができます。
2020年に起こったコロナ禍は、人々のコミュニケーションのあり方を大きく変えました。なかでも「三密を避ける」という感染対策が徹底されることで、人が集まりにくくなった上、「マスク着用」が日常化し、相手の表情が読み取りにくくなってしまいました。そんななか、新しいコミュケーション手段として普及したのがオンライン・ミーティングです。
中井教授の前職は中学・高校の教員。英語や情報の教科を担当しながら、スキー部の顧問として教育の現場に立ってきました。その経験から、オンラインでも(だからこそ)人々の緊張を解くためのゲーム(アイスブレーキング・ゲーム)を楽しんでもらえるよう、開発に臨みました。
中井教授が開発したゲームは全部で9種類。「ダルマさん」「ほっぺさわり番号送り」「チクタクポン」など、オンラインならではの面白さを活かせる、笑いのツボを押さえた展開になっています。この取り組みは、公益財団法人日本レクリエーション協会の助成事業として、ゲームを普及させるためにパンフレットやWebサイトが制作され、コロナ禍で離れざるを得ない多くの人に、人とのつながれる場やきっかけを提供してきました。
研究内容をフィールドに反映し、フィールドでの発見を研究にフィードバックする。研究とフィールドの双方に関わって活動を展開しているのが、中井教授の強みです。今後も、現場の課題やニーズに応える新たなアクティビティの開発が期待されます。
スポーツ・レクリエーションなどのアクティビティは、活動そのものの楽しさに加えて、活動を通して人とコミュニケーションする楽しさがあります。年齢や運動能力の壁を超えて楽しめるアクティビティが数多く開発され、ICTを駆使すれば、世界中のさまざまな人々が同時に遊べる時代が来るかもしれません。
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