朝いちばんに、あたたかいお茶を飲むのが毎日の習慣になっています。食べ物では担々麺が好きです。最近、ふと店頭で見かけた梅の小さな盆栽を購入し、大切に世話をしています。梅の花が咲く季節が楽しみになりました。
人間は生きものであるため、人体は常に動いています。その「動き」に伴って骨や腱などのさまざまな内部の組織も動きます。この動きに変調があると、痛みや障害につながります。
田中教授は、理学療法士が徒手(手で触ること)で行っていた検査を数値化し、客観的に共有できるデータにできるよう、工学的アプローチで新たな評価方法を開発しています。
私たちの身体を支える土台となる足。全体重がかかる部位だけに、調子が悪くなると体全体にも悪い影響をおよぼしかねません。「扁平足」をはじめとする足部の変形は、足の衝撃吸収機能を低下させるため、姿勢や動作に影響し、足の裏にタコができやすくなり足の痛みにもつながります。
田中教授は、アーチの崩れやすさを客観的に共有できるような新たな評価方法の開発に取り組んでいます。運動学的に足の機能に重要な役割を果たしている足のアーチには、縦アーチと横アーチがあります。足のアーチが崩れると扁平足になったり、タコができやすくなったり、足に痛みが出たりします。医療現場では、このアーチの崩れやすさを客観的に測る検査方法が必要とされています。
田中教授は、この前足部横アーチに外力が加わった時にどう変形するかを計測し、評価する新たな手法について研究。反射マーカーを装着した足を透明アクリル板の上に乗せ、段階的に足に外力をかけてゆくことで、足底部が変形する様子を測定し、評価する方法を考案しました。測定は、足の裏をスキャナーで撮影する方法で実施。その画像の濃淡から、変形度を評価して、崩れやすさを算出します。
この検査方法の有効性(実用性)を確認するための評価試験は、スキャンデータと熟練の理学療法士の徒手による評価とを突き合わせる方法で実施。熟練者の検査結果と遜色のない有効性を確認しました。これにより、足底にかかる圧を濃淡を分析し、数値化することで、目視・計測できない体の状態を、客観的に、正確に評価できるようになったのです。
田中教授は、大学院生と一緒に「生体組織の硬さ」の数値化にも挑戦。超音波診断装置を用いたストレインエラストグラフィー計測は、測定したい身体の内部組織へ外力を加えて、超音波を計測そのひずみ分布を用いて、硬さを計測する手法です。
新しいシステムの開発には、計測対象に対して正確に外力を加えるために超音波プローブとデジタルフォースゲージを卓上試験機に固定する必要がありました。そこで、協力を仰いだのが、寝屋川キャンパスにある3D造形先端加工センターです。超音波プローブをしっかりと固定できる器具を作成してもらったことで、安定したデータを収集することができました。
現段階では、測定サンプルでの実験ですが、今後は人体への応用に向けて、さらに研究を発展させる予定です。
患者さんと日々接しその身体に直接触れている理学療法士の経験と知識、そして客観的データの取得方法を得意とする工学の技術と考え方。この2つを組み合わせることで、外側からは見えない内部組織の変調を早期発見・予防することができます。
本学では、医療系、工学系の教員がそばにいて連携がとりやすい環境があります。技術の進歩により、大がかりで時間のかかる検査から、簡単な検査で身体の変調をキャッチできるようになれば、予防医学的な健康管理はさらにスムーズになりそうです。
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