大阪電気通信大学大学院工学研究科 建築学コース

自分自身のためではなく
人のためになる建築をつくる

高橋 侑里さん/建築学科4年(兵庫県 宝塚北高校 出身)

※2024年4月より建築・デザイン学科 建築専攻へ

大学に入学したきっかけ

自分のためでなく
人のために考えたものを形にしたい。

私は、もともと理系科目の勉強が好きだったこともあって、モノづくりに興味を持っていました。数あるモノづくりの中でも建築は、私たちの生活の中で、一生を通して関わり続けるものであり、生活をより豊かにしてくれるものです。自分のためではなく、人のために考えたものを形にしたい。その想いが日に日に強くなり、建築を学びたいと考えるようになりました。

進路について調べていくうちに、大阪電気通信大学で建築学科が新設されることを知りました。1期生として入学することで、建築学科の歴史において何か形に残せるのではないか。そのように感じて建築学科への入学を決意しました。

印象に残っている大学の学び

手を動かしながら、デジタル技術を学んだ日々。
情報を活かして建築の可能性を広げていけた。

大学の授業で、特に印象に残っているのは設計実習です。この授業は、自分の手を動かして、建築を計画し設計するという実践的なもの。与えられた課題から自分が思う最善の構想を組み立て、教授と議論を重ねていきながら作品を作り上げる体験ができました。

手を動かしてものをつくるだけではなく、PCを用いた実習も建築との向き合い方を大きく広げてくれました。CADという設計支援ツールで図面を描く方法を学べたり、コンピュテーショナルデザイン実習で3Dの複雑なデザインにおける設計方法を学んだり。そして、BIM実習では部品の種類や値段の把握、安全性や耐震性の分析等を行うデジタルツールを学修。一連の実習を通して、建築設計の技術を磨いていけたと考えています。さらに、国際交流プログラムを通して中国へ行くという機会があり、海外の建築や文化を学びながら、自分の視野を広げていくこともできました。
さらに、先生の推薦もあり、建築学会の厳正な審査の結果、2年連続「日本建築学会グローバル化人材育成プログラム」に参加したこともいい経験となっています。大学で学んだすべての経験が、大学院で建築設計をする上で役に立っています。

コンペについて

人とは違う発想×デジタルツールを駆使した設計が、
建築コンペティションでの佳作につながった。

建築学科で、作品と向き合う姿勢やデジタルツールを学んだ経験は、コンペティションでの制作にも活きています。私は、意匠設計の登竜門として知られる「長谷工住まいのデザインコンペティション」に挑戦しました。約730件の作品が応募される中で受賞するために、私が意識したことは、普通の建築物を提案しないことです。毎日が試行錯誤の連続でした。

趣味の山登りをしながら作品の構想について考えていた時、山の中に生えているキノコが目につきました。キノコは、日の当たるところにも、当たらないところにも生えている。それは住宅にもつながるのではないか、そう感じた私はキノコをテーマにした作品をつくろうと試みました。学科で学んだデジタルツールを駆使したことで、キノコ特有の曲線美を表現した作品をつくることができました。チームで取り組む方も多い中で、個人で佳作を受賞できたことは、いまでも大きな自信になっています。

卒業研究

大都市における自然建築は可能か?
ヴァナキュラー建築への挑戦。

もともと私は、建築を好きになる前から世界遺産に魅力を感じていました。建築を学ぶ中で、世界遺産だけでなく、世界各地に存在する独自の建物や景観、自然にも興味が広がっていきました。その中でも、特に注目するようになったのがヴァナキュラー建築です。ヴァナキュラー建築とは、たとえば、東南アジアの高床式住居やトルコの洞窟住宅等、その土地にある自然の材料を使い、なるべく環境に負荷をかけない建築のこと。卒業研究では、目下、「大都市におけるヴァナキュラー建築の景観とあり方」について取り組んでおり、景観の美しさと住みやすさを両立する都市づくりを行うためにはどうすればいいかについて思考を深めています。

将来的には、日本を含む世界各地の高層建築をポテンシャルとしている街で、自然を取り入れた建築を体現したいと考えていて。そのために日々、建築と向き合っています。

大学院でやりたいこと

自分だけの設計テーマや一級建築士資格、コンペティション
何かひとつと言わず、できることすべて挑戦したい。

「修士設計は、建築士人生の中で永遠の自分への問いになる」という教員の方の言葉が強く心に残っており、大学院へ進学することを決めました。研究を積み重ねていくたびに、答えはひとつではないと実感する日々。自分の考えるビジョンに一歩でも近づけるために、大学院で建築を探究しています。

大学院では、一級建築士の資格取得にも挑戦したいと考えています。通常、一級建築士免許を取得するためには、2年の実務経験が欠かせません。しかし、大学院の実務系の授業を履修することで、2年の実務期間が免除に。卒業後すぐに一級建築士だけが認められている業務領域に携わることができます。将来の夢は、海外の設計事務所もしくは、海外での設計に強い日本の設計事務所で意匠設計に関わること。仕事の幅を広げるためにも、理想のキャリアを描くためにも、資格やコンペ等、何かひとつと言わず、できることすべてに挑戦していきたいです。

受験生へのメッセージ

たくさんの建築に触れて
自分の可能性を伸ばしていける。

大阪電気通信大学の建築学科を色で例えると「白」です。それは、学科の歴史が短い分、自分たちの色に染めることができるから。つまり、研究も決まりきった内容に囚われることなく、自分の興味のある建築について追求していける環境があるということです。

私は、志望する大学に入学することだけが大切なのではなく、入った場所で、何を成し遂げられるのかが重要だと考えています。私自身、この学科に入り、大学の仲間と切磋琢磨しながら建築と向き合ったり、外部の建築イベントに参加したりすることで見識を広げ、技術を磨き、設計事務所で働きたいという目標を持って日々を過ごすことができています。まずは自分が何をしたいのか?どこでできるのか?を考えてみることから始めてください。きっと、ここでなら可能性を伸ばしていけると思います。