新明和工業株式会社航空機事業部 技術部

憧れの航空機設計に携わり
世界へ羽ばたく技術者になる

福田 哲平さん/2012年 機械工学科卒業・2014年 本学大学院 制御機械工学専攻卒業(大阪府 夕陽丘高等学校 出身)

※現 工学専攻 制御機械工学コース

現在の仕事内容

航空機の解析から
海外エンジニアとの開発プロジェクトまで。

わたしはいま、子どもの頃から憧れだった航空機の設計に携わっています。チームを管理する立場として、主翼桁の強度解析を行ない、安全保証や機能向上のための設計変更等、長い時には2〜3年の年月をかけてひとつの部品と向き合っていきます。ファスナ1本から巨大部品まで、数十パーツを担当し、数百種類に及ぶ飛行ケースを検証し、レポートとしてまとめています。

約300万個のパーツで成り立っている航空機のうち、担当しているのは一部分ではありますが、その強度を判断できるのはわたしのチームだけです。搭乗者の命を守るために、強度不足のものは、いくら高価な部品であっても、完成形であっても、たとえ一からやり直しになってでも「絶対に社外に出さない、そして飛ばさない」という意識で解析に取り組んでいます。その繰り返しが、日々の安全なフライトにつながっていると考えています。

設計変更だけでなく、自分たちで一から部品の開発チームを立ち上げたり、海外エンジニアとプロジェクトに参加したり、さまざまな仕事にチャレンジしています。

入社したきっかけ

エンジニアの懸命な姿、和気あいあいとした雰囲気
何より「一緒に働きたい」という言葉が胸に刺さった。

就職活動では、エアライン業界しか見ていませんでした。その中で、新明和工業の航空機製造工場を見学する機会があり、印象的だったのが、必死に航空機に向き合っているエンジニアの姿や、和気あいあいとした雰囲気の中で若手と上司が議論している姿でした。わたしもエンジニアとしてこんな風に働きたい。その想いが強くなっていきました。

新明和工業よりも規模が大きい会社は他にもあります。しかし、新明和工業は、世界中の企業のうち、品質や納期順守、価格等で特に優れていると認められた会社にのみ贈られるボーイング・サプライヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞する等、世界に誇れる技術力を持つ会社です。少数精鋭のため、若いうちからさまざまな経験を積みながら成長できる点にも惹かれていました。さらに、採用担当の方がわざわざ、わたし宛に電話で「一緒に働きたい」という熱い想いを伝えてくださり、その想いに心を打たれて入社を決意しました。

仕事のやりがい

海外プレゼンや、民間機航空機開発を経験。
世界を舞台にチャンスを広げていく。

航空機の部品を担当するためには、世界各国の航空機メーカーに勝る技術を、自社で確立していくことが求められます。その状況を前向きに捉え、新しいことに挑戦しています。たとえば自分たちで部品の研究を立ち上げ、設計、製造の調整、試験へと進み、出来上がった部品を持ってイギリスの展示会で製品紹介を行うことができました。いまは海外メーカーの次期開発機体に搭載してもらえるように提案するところまでこぎつけることができ、大きな自信につながっています。

さらに、出向という形で民間機航空機開発にも携わりました。日本として約40年ぶりの独自開発となる大型プロジェクトで、わたしは機体の動翼関連の構造解析を担当。スケジュールが想像以上に厳しい中で、日本人も海外のエンジニアも一丸となって強度保証を行い、無事、航空局から承認を得ることができました。承認を得た機体が目の前の滑走路から離陸した瞬間は、みんなで喜び合ったことを覚えています。離陸の感動だけでなく、構造解析を任された一員として、航空機が無事着陸した時は、何ともいえない安心感がありました。

航空機の無人化に対するニーズ、環境への配慮等、いろいろな要因が重なって、航空機業界は近い将来大きな変革が見込まれています。世界のニーズの一歩先を見つめて、さらに知識を広げていきたいです。

大学に入学したきっかけ

子どもの頃から特別だった航空機。
夢に近づくために機械工学科へ。

子どもの頃、両親の帰省等で航空機に乗る機会が多く、乗り物の中でも特に航空機に魅力を感じていました。空港に行って搭乗手続きをする時間も含めて、航空機に乗ることはわたしにとって特別な時間。将来はエアライン業界で働きたいと考えるようになりました。

エアライン業界の中でも、中学生の時に観ていたドラマの影響もあり、整備や設計、製造といったメカニックに興味を持っていたため、工学の知識、機械への知識を身につけられる機械工学科に入学することを決めました。

印象的な大学での学び

モノづくりの一連のフローを
手を動かしながら学ぶことができた。

機械工学科では「機械創成工学実習」という実際にモノづくりを体験する授業があります。自分たちで目標を決めて、期日に向けて製品製作を行いました。構造決めから調達・加工・組立・展示まで、授業で習った知識や調査を活かして一からモノづくりにチャレンジ。「どういうものを実現できるか?」「限られた予算の中でできることは?」と思考を膨らませながら考えていき、最終的にオープンキャンパスで製作物を披露する機会も得ました。

製品製作のフローは、モノづくりをするメーカーでは常に行われていることです。その一連の流れを学べたことは、いまふり返っても貴重な経験でした。

受験生へのメッセージ

大学は夢を叶えてくれた場所。
やりたいことに、とことん向き合ってくれた。

機械工学科の教授は、学生との距離が近く、勉強や研究で迷った時はいつでも相談に乗ってくださいました。この学科は、実験や実習を通して、製品等を自分で見て、触って、動かすという経験をたくさん積むこともできる環境です。さらに、大学としても就職支援に力を入れており、進路について就職課の方から手厚いフォローをいただくこともできました。

わたしが、就職活動を始めた3年次の頃、エアライン業界をめざす周囲の学生たちの熱量に圧倒されて、その人たちに負けない力を身につけるために大学院に進もうと決めました。航空機にかかわる仕事しか見えていなかったため、大学の就職課には本当に何度も通って、面接や自己PR文の書き方を徹底的に指導してもらいました。数えきれないサポートがあったからこそ、子どもの頃からの夢だった航空機の設計に携わることができています。ここは夢を叶える環境があります。やりたいことに向かって信じて進んでください。きっと理想の未来へ歩んでいけると思います。