株式会社オプテージ技術本部 技術イノベーション部
技術企画チーム

世界最先端の技術“ローカル5G”で
通信の可能性を広げていく

段野 弘樹さん/2010年 通信工学科卒業・2012年 本学大学院 電子通信工学専攻卒業(兵庫県 飾磨工業高等学校 出身)

※現 工学専攻 電子通信工学コース

現在の仕事内容

ローカル5G事業化チームの
リーダーとして、挑戦する日々。

わたしはいま、ローカル5Gの事業化にチャレンジするチームでリーダーを務めています。スマートフォンや自動運転等で5Gという言葉を聞いたことがある人も多いと思います。実はいま、通信の制度が変わって、特定の通信事業者ではない企業や自治体も、専用の5Gネットワークを持てるようになりました。ローカル5Gとはエリアを限定して企業や自治体が独自に利用できる5Gのことをいい、超高速かつ、高いセキュリティを確保した通信が行えるようになります。たとえば、工場のスマートファクトリー化や、物流の自動化、遠隔医療の実現等、いろいろな産業を変えていける可能性を秘めています。

ローカル5Gは、世界最先端の技術領域で、わたしたちの会社にとっても新しいチャレンジ。そのチームでリーダーを任されていることにやりがいを感じる日々です。サービスの企画やビジネス化の検討、技術検証等、業務範囲は多岐に渡ります。その中で「どうやって社会課題を通信で解決するのか?」「どうすれば会社の未来を切り拓くことができるか?」といつも考えながら職務に邁進しています。

入社したきっかけ

学生時代に経験した東日本大震災。
災害時でもつながるネットワークをつくりたい。

わたしがオプテージをめざした理由のひとつに、学生のころに経験した東日本大震災があります。東北に親戚がいたわたしは、連絡を取ろうとしましたが、地震の影響で電話がつながりにくく、不安な思いをしました。その経験から、災害が起きてもつながるネットワークをつくりたいと強く思うようになったのです。

ちょうどそのころ就職活動を行っていたこともあり、通信ケーブルや装置、局舎等の設備を独自に保有し、維持している当社を知りました。関西に本社があり、阪神・淡路大震災も経験しているオプテージなら、災害が起きても使える理想的な通信をめざせるのではないかと思い、入社を決めました。

仕事のやりがい

誰も形にしていないものを
誰もが利用できるサービスに変えていく。

通信技術は3Gから世界共通となり、世界各国のメーカーが機器を製造しています。だからこそ、日本製だけでなく海外メーカーの製品についても理解する必要があります。また、コアを構成するサーバ機器や、無線ネットワークを構成する無線機や各種スイッチ、端末等、ネットワーク技術に関する領域は多岐にわたるため、チームで担当を決めてローカル5Gの事業化に向けて動いています。通信は、すべての機器が正しく揃わないとつながりません。通信の基礎をしっかり学んできたからこそ、メンバーとの情報共有も相互接続についても円滑に行えていると感じています。

一つひとつ技術を積み重ねていく中で、お客さまへローカル5Gの提案をする機会がありました。映像伝送やロボット制御についてローカル5Gを活用することでスマートファクトリーの実現をめざすプロジェクトです。実際に5Gの電波を発射して映像伝送を実現できた時、お客さまから「未来につながるよね」と評価してもらえたことは、うれしかったです。技術者として、誰もまだ形にしていないものを、誰もが利用できるサービスに変えて世の中に広げていくことに、大きなよろこびを感じています。

大学に入学したきっかけ

本気で通信を勉強したい。
学科名に”通信”が入っている通信工学科へ。

小学生のころからインターネットに触れたり、中学生になってからは自作PCやサーバをつくったりして、少しずつ通信の世界に足を踏み入れてきました。高校はIT工学科の一期生として入学し、プログラミングや通信のさまざまなことに挑戦していきました。チャレンジするほど知識が増え、できることも増えていったのですが、わからないこともそれ以上に増えていきました。

本気で通信を勉強しようと思っていた時に、大学名と学科名に“通信”がついている大阪電気通信大学の通信工学科ならしっかりと学べると思いました。実際に大学に行ってみると、当時は、巨大なパラボラアンテナがあり、おもしろそうだと胸を踊らせたことを覚えています。

印象的な大学での学び

日々の研究で試行錯誤した経験が、
いまの仕事にすべて活きている。

大学時代の学びの中で、特に役立っているのは、やはり日々の研究です。研究テーマは、音波を用いた通信の品質向上。OFDMというWi-Fiや5Gでも利用される変調方式を用いて音波を送ることで、情報の通り道となる伝送路の特性把握と補正を試みました。ひとつずつわからないところを無くしていき、実験してデータをまとめ、教授に報告し、新しい実験を行う。この繰り返しの中に、「物事の捉え方」「課題の抽出方法」「解決策の実行」「振り返り」等さまざまな要素が含まれていて、いまの仕事にすべて活きていると感じています。

今後6Gや7Gになったとしても、基本的な電波の性質等の通信の本質は何も変わりません。有線だけでなく無線通信も併せて学んでいたことで、どちらかに偏ることもなく、通信を行うために何が必要なのかという核心部分を的確に捉えられるようになりました。ローカル5Gという新しい領域に挑戦できているのも、大学で通信の基礎を学べたことや、通信の実験を数多く経験できたことが大きいと考えています。

受験生へのメッセージ

友人と切磋琢磨しながら
社会を支える通信を学べる。

新しいアプリケーションやクラウドシステムも、その下支えをしているのは通信です。技術に魔法はありません。すべての技術は、過去の技術の上に成り立っています。すでに古いと感じてしまうかもしれない技術や理論も、しっかりと学ぶことで未来につながります。これから先、あらゆるものがインターネットでつながって、通信無しでは何もできなくなる時代に突入するでしょう。通信工学科で学ぶことで、目立たなくても社会を支えられる人になれると実感しています。

大阪電気通信大学では、通信に興味を持つ友人も多くできます。わたし自身、友人の誘いでイベントに参加したり、通信について語り合ったりしながら、「エンジニアとして大切なもの」を培っていきました。自由な校風の中で、好きなことを追求できる環境だからこそ、どのように技術が進化しようとも、それを楽しめるエンジニアになれる。わたしは、そう確信しています。