環境問題や安全・安心にふさわしい街づくりなど、今、世の中には多くの課題があります。
こうしたさまざまな問題を解決できるのが、建築の力です。
建築技術で社会がどう変わっていくのか、「安全・安心を支える技術」をキーワードに、
未来の社会を少しのぞいてみましょう。
建築は、人々の安全や安心な暮らしに貢献するもの。地震の多い日本で、今、免震・制振技術が注目されています。これまでは、地震の揺れに対して構造物の強度を高める耐震技術が一般的でした。一方で、免震・制振技術は、いずれも従来のように「建物を強くする」発想ではなく、「地震のエネルギーを吸収する」という発想で、大規模な地震において威力を発揮します。近年、こうした免震・制振技術が、新築だけでなく、既存の建物にも導入できるようになってきました。
日本には、古くて価値ある建築物や、昔の木造・レンガづくりの美しい建物が数多くあります。一例としては大阪市の中央公会堂でも導入されており、古い建築物に活用することで、スクラップ&ビルドの世の中を変え、ヨーロッパのように古い建物を長く使い、美しい建築を後世に残すことができます。
このように安全・安心を支える建築技術は、実は街づくりにおいて、これからの日本の景観を変えていく可能性を秘めています。そのためにも建築のプロをめざすみなさんには、デザインはもちろん、私の専門である構造力学など建築の基本となる専門分野をしっかり学んでほしいと思います。その際、ヴァーチャルな世界だけでなく、実験や体験でリアリティを大切にしてください。そして、建築の魅力は、やはり自分がつくった建物が末長く後世に残ること。その面白さややりがいを大阪電気通信大学の建築学科でともに味わっていきましょう。
ICT(情報通信技術)を使って使用電力を「見える化」し、太陽光発電をビルや学校に組み込んで新しいエネルギーシステムをつくる、環境に配慮した「スマートシティ」が注目されています。
コミュニケーションを究めた「参加協働のデザイン」により、多世代交流型の生活包括支援や持続可能な環境共生支援、さらには大災害に向けた「コミュニティづくり」が実現するでしょう。
例えば、設計の自由度が高い木造と、耐震性に優れた鉄骨造を組み合わせると、多様で豊かな空間を実現しながら、高い安全性も実現可能。種々の構造を組み合わせると、建築の可能性が広がります。