電車やカフェでは、スマホ派が大多数で、本・雑誌・新聞といった紙媒体派は少数派なように、メディアは時代によって変わります。
原教授は、自ら関わったメディアを振り返りつつ、芸術文化情報に関するメディアの変化と課題について追究しています。
原教授が初めて芸術文化情報メディアの編纂に関わったのは1986年の『楽叢書第5冊〜現代芸術のキーワード・200』で紙媒体でした。その6年後の1992年にフロッピーディスクマガジンである『JAT:JAPAN ART TODAY -01 大阪ミキサー計画』を発刊。その5年後の1997年に現代芸術情報発信ポータルサイト「TOWN ART GALLERY」立ち上げに携わっています。アート情報の告知を行うメディアも紙のフライヤーからウェブサイトへ、ハガキからメールへ、口コミはSNSへと移行。また、アートも90年代までは平面作品なら絵画・写真などのメディアが主流でしたが、2000年代から国内外の美術展で映像の割合が増えています。さらにここ数年ではNFTアート作品が高額で取引されるなど、作品が物質ではなくなる現象も起こってきています。デジタル化は確実に進んでいます。
デジタル化は、複製が簡単で品質が保たれ、早く届くというメリットがあります。その一方で、フロッピーディスクが現在のIT環境では読み込めないように、規格が変わると次代に継承できないというデメリットもあります。
展覧会の告知やレビューも紙媒体からインターネットへと移行しつつあります。けれども、デジタル化が進んだとはいえ、アートの中心にあるのは作品を展示する展覧会です。観客が会場に足を運び、テーマに沿って集結した作品と対面できる展示空間は、リアルなアートメディアといえます。
原教授はアジア作家の映像展「Movin on Asia」の共同キュレーションも手がけていますが、展覧会は展示物の文脈を知り、周辺状況を俯瞰することもできます。担当するプロジェクト型科目では、履修生が学内の展示スペースに小さな「ゲーム博物館」を作ることに挑戦しています。
ゲームの歴史、テーマなどさまざまなことを調査して展示することで、今後のゲーム制作や情報発信に活かす力を育んでいます。
仮想空間が増えていくメタバース時代には、ゲームとされていたものがアートとして扱われるなど、アートとゲームの境界は曖昧になるでしょう。
ということは、ゲーム&メディア学科でアートを学べる本学は、かなり先見性があるといえるのではないでしょうか。
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