YOKOYAMA Hiroshi
総合情報学部 ゲーム&メディア学科 教授
大学院 総合情報学研究科 デジタルゲーム学コース 教授
博士(経営情報学)
摂南大学
大学での一般情報教育 / 問題解決 / やる気の研究
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コロナ禍でゼミの夏合宿ができなくなり、学生との交流の機会が減りさみしく感じています。恩師である石桁正士先生(大阪電気通信大学名誉教授)とは日本海までドライブして釣りをするなど、45年のご縁が続いています。先生との「やる気」研究会も大好きな時間です。

人々の人生に大きく関わりつつも
客観的にとらえにくい「やる気」を探究

「どうしてもやる気が出ない」「やる気だけは人一倍あります」など、私たちの日常で「やる気」の有無は大きな課題です。体感として確かに存在していますが、なかなか客観的、科学的には捉えられない「やる気」について研究しているのが横山研究室です。

なかなか出ないのに、簡単に消える
そんな「やる気」を記録して見える化!

横山研究室では、石桁正士名誉教授(本学)の「やる気」研究がスタートしてから、30年以上に渡ってその研究を継続しています。

勉学のやる気を可視化するために、累計2万人の学生に調査を実施。今までの学びの場面を振り返ってやる気が最高だった時を100%、最低だった時を0%として、現在のやる気が何%であるかを書き出します。

やる気が出た時、なくした時が「やる気カーブ」として可視化され、その時の理由を記入します。調査結果に同じものはありませんでしたが、やる気カーブに一定のパターンがあることがわかってきました。

やる気は、出すのは難しい割に、簡単に消えてしまいます。いかに継続させるかがポイントです。たとえば、合格をめざして勉強する場合なら、試験日まで定期的に模試を受けることでやる気カーブを上昇させることができます。

学生に実施した「勉学のやる気の調査」シート
定期的に模試を入れることでやる気カーブを上昇させる
20年前の大学生は、やる気いっぱいで入学するものの、次第に大学生活に慣れ、就職活動まで少し停滞する「中だるみ型」。
さて、あなたの勉学のやる気はどんなカーブになる?

やれ!と言われるほど、失われるやる気 
やる気の核には本人の「価値観」が宿っている

模擬試験を定期的に入れても、やる気カーブが上昇しない場合もあります。それは試験合格が「自発的・能動的」な目標ではなく、「他発的・受動的」な場合です。

この場合は「やる気」ではなく、「やらされ気」「やらん気」「やれん気」になっているため、周囲が「やれ!」と言うほどに、やる気は失われます。やる気に密接に関わっているのが本人の価値観です。目標が価値観と合致しなければ、前には進めません。「自分ならできる」という自己効力感が感じられないからです。

どんなにやる気を起こそうとしても出ない場合は、設定した目標と自分の価値観が合致しているのかを見つめ直してみることも必要です。納得して目標を定めてから、途中に自分の得意なサブゴールを3つほど設定するとやる気が安定しやすいようですが、正解はまだ見つかっていません。

目標に向かう際の「やる気」の種類
価値観の多様化が進む中で、「やれん気」の領域はさらに細分化すると考えられる

やる気はエネルギー?それともエンジン?
まだまだ謎だらけの「やる気」の正体

やる気があれば、夢が叶いやすくなることは誰もが予測できますが、それはやる気がエンジンであった場合の話。もし、やる気がエネルギーであるなら突然燃え尽きる可能性も。
また、価値観が多様になり細分化することで目標が見つけにくくなる可能性もあります。やる気はまだまだ未知の分野なのです。

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