誰でも情報が発信できる時代、誰に何をどのように伝えるのか、目的や目標を定めて情報を組み立て、適切に表現できる情報デザインが注目されています。
山路研究室では、音楽や音響による情報デザインを研究。音楽やサウンドを分析し、その中に潜んでいる「伝わる構造」を明らかにしています。
伝わる構造は、人の音の感じ方と密接に関係します。たとえば、音の高さが上がったりリズムが速くなったりすると、人は「この先に何があるのだろう」と期待して、より集中して音を聴くようになります。こうした心理を曲作りに応用すれば、一番大事なところが印象に残るようメリハリのある楽曲にデザインできます。人の気持ちを動かし意図をより的確に伝えるために、1曲の時間の中でメロディやリズムなど音の情報をデザインする芸術が音楽です。
山路研究室では、最先端のポピュラー音楽から昭和歌謡までさまざまな楽曲に焦点を当て、その音楽的特徴や作曲手法を分析。リスナーの心理に及ぼす影響も踏まえて、その音楽情報デザインの巧みさを解明しています。
また、映像音楽やゲーム音楽も研究テーマの一つです。ゲームにとって重要な役割を果たす音楽。同時に4音しか出せなかった時代から、コンピュータの処理能力の向上によって、現在はオーケストラサウンドさえ再生することが可能になりました。
山路研究室では、メロディの動きの傾向を見つけるところから分析を開始。「昔のゲーム音楽は制約の中でデザインされたからこそ、表現の完成度が高く耐久性もあるのではないか」と山路教授は考えています。
「龍が如く2」などのゲーム音楽、映画音楽ほか豊富な作曲・編曲経験から、山路教授はポピュラー音楽やゲーム音楽におけるスタイルの発見など、音楽制作のヒントや指針につながる研究成果を期待しています。
コンピュータによる音楽制作技術はどんどん進化を遂げ、AIで「○○風の音楽をつくる」といったことも可能になりました。音楽が簡単に作れるようになり、音楽の専門知識がなくてもある程度のレベルはクリアできる時代。
今後、音楽や美術などアートに関わる教育のあり方は、今までとは根本から変わっていくかもしれません。突拍子もない、誰も予期しなかったような新しいものを創り出す⼈がどう⽣まれるのか、今後を注視していきたいです。
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