HISAKA Masaki
医療健康科学部 医療科学科 教授
大学院 医療福祉工学研究科 医療福祉工学専攻 教授
博士(工学)
大阪大学
レーザー光・赤外線による生体組織の高精度診断
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近場の海で釣りを楽しんでいます。アジ、サバ、タチウオ、キス…。最初は釣った魚の調理を家族に頼んでいましたが、だんだん不評となり、さばき方を修得。堺で包丁を調達するなど結構はまっています。

光による身体のデータ計測で 
医療の可能性を広げる

人にやさしい光を使って、身体に触れたり傷つけたりすることなく生体のデータを集めたり、治療に生かす技術が注目されています。
日坂研究室では光技術を活かした新しい医療用診断・治療機器を開発。今まで得られなかった身体の情報を計測することで、医療の進歩に貢献しています。

触らず素早く正確に
深部体温を計測するシステム

非接触で体温を検知するシステムにサーモグラフィがあります。これは、対象のヒトから放射される赤外線量を計測し、温度を可視化する仕組み。しかし、これだと身体の表面温度しか計測できず、外気温の影響を受けやすいという欠点があります。

日坂研究室では赤外線を使いながら、身体の深部体温を速く正確に計測する技術を開発しています。その原理は、赤外線検出器にピンホールを設置し、内部から放射される赤外線だけがそこに当たるようにするというものです。

豆電球を使った実験では、表面のガラスの熱は除外され、内部のフィラメントのらせん構造だけが赤外線画像としてはっきり映し出されました。日坂教授は、この仕組みを応用すれば眼底や脳などの内部を計測する「深部体温」計が開発できるのでは、と考えています。

細い血管内部の病巣を
直接発見・治療する血管内視鏡

心臓の血管に細い管を通しX線で撮影しながら検査や治療を行う心臓カテーテルは、心疾患の治療を大きく前進させました。近年さらに、血管の内部を直接見ることができる血管内視鏡が実用化され、期待を集めています。ただ、現在使用されている血管内視鏡は、イメージファイバと呼ばれる光を伝送する超微細な管を束ねた先端にレンズやレンズホルダーを装着しているため、先端部分が硬くなって曲げにくく、直径も太くなってしまうという課題があります。

日坂研究室では、こうした課題を解決し、扱いやすい血管内視鏡にするため「レンズレス血管内視鏡」の開発に取り組んでいます。これはイメージファイバを通したレーザー光を1点に集光し、その点を高速に走査させることで血管内部を映像化する仕組み。レンズをなくすことで、先端部分の硬さや曲げにくさを解消。現在、医療現場で使われているものより非常に細い内視鏡が実現できます。レンズレス血管内視鏡なら、病巣の観察はもちろん、検査中に見つけた血管プラークを、そのまますぐに高出力のレーザーで治療できるなど機能面でも期待できます。

身体の状態を常時見える化して
人々の健康をバックアップ

生体計測は、より普段の暮らしに近い形で情報を集められるように進化してきていると言えます。スマートウォッチで心拍数や心電図などの生体情報が計測できるようになってきたことはその典型的な例。
日坂研究室でも、近赤外光によって脳の活動状態を見える化するNIRS技術を使った計測機器のウェアラブル化を研究中です。深部体温の計測もリアルタイムに行うことができれば、熱中症の予防などに役立つはず。検査や機械装着のストレスなく、健康管理ができる。今後のヘルスケアへの展開が期待されます。

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