幼い頃からバイオリンを習いクラシック音楽をやっていました。一時期アマチュア劇団の音楽を担当していたので、作曲もやります。音楽好きが高じて、音楽を使った健康管理機器の開発にも着手中。
障がいのあるなし、年齢や言語の違いに関係なくともに使える製品を共用品、サービスを共用サービスと言います。
新川教授の共用エンタテインメント研究は、音の出るトランプから始まり、今も進化を続けています。めざすのは、人々を勇気づけ、人間が本来持っている生きる力を湧き立たせるゲームの開発です。
新川教授の共用エンタテインメント研究は、音の出るトランプから始まりました。これはトランプの中にICタグが埋め込まれており、リーダーにかざすと「ハートの3」というふうに、カードの情報が読み上げられる仕組みです。トランプの情報が音として届くため、視覚障がいのある人も晴眼者も同じ条件で対戦することができます。
これを機に、新川教授のゲーム開発は次々と進化。ゲーム「kikimimi」の開発では、プログラム(音声)を入れ替えることで、トランプだけでなく、非言語である動物の鳴き声や音楽のフレーズを用いて遊ぶことができるよう改良を加えています。これによってトランプのババ抜きからUNO、大富豪のようなカードゲーム、音のしりとりなど多彩な遊びができます。
また、「touch the sky」という形の違うコマを使うゲームも開発。音声だけでなくコマの触感も情報として活用する新しい遊びの提案をしています。
新川教授は、開発したゲームが視覚障がい者のエンパワメントにつながるのではないかと考えています。エンパワメントとは、個人が持っている本来の能力を発揮できる環境や仕組みづくりのことです。
「kikimimi」や「touch the sky」は情報が音声出力されるため暗闇の中でも遊べるので、視覚障がいが遊戯の妨げとなりません。晴眼者と同じ条件で戦って勝てるゲームは、視覚障がいのある人も楽しみながら自信を育むことができる場ともなるでしょう。
ただし、そのためにはゲーム開始時に配られるコマの内容といった偶然によって勝敗が決まるゲームではなく、記憶力や戦略を立てる能力の高さなど戦略性がより高いゲームであることが重要です。
そこで、新川研究室では「touch the sky」について初心者や熟練者などレベルの違うプレイヤーモデルを構築し、ゲームAIによる対戦シミュレーションを行ってゲームの戦略性を分析。この分析結果に基づいてルールを変更するなど、調整を重ねて、エンパワメントに最適な戦略性を持ったゲームの開発をめざしています。
新川研究室がめざすのは共用エンタテインメント。楽しむためのものだけに、一緒に時間を過ごすことで心のバリアも解けていきそうです。
現在、開発しているのはコマの形を変えられるゲーム。触って情報を伝え合い、チームで勝利をめざすそうです。ダイバーシティの時代、ゲームの役割は想像以上に大きく、私たちをさらにわくわくさせてくれそうです。
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