IWAMOTO Yutaro
情報通信工学部 情報工学科 准教授
大学院 工学研究科 情報工学コース 准教授
博士(工学)
立命館大学
画像処理 / 機械学習 / 医用画像処理

休日は読書をして過ごすことが多いです。星新一は昔から好きな作家で、一時期よく読んでいました。最近引っ越しをしたので、落ち着いたらおいしいお店を見つけたりもしてみたいですね。

AI技術を駆使した医用画像処理研究で
小児水頭症の脳室領域抽出をより高精度に

脳脊髄液の循環障害によって、脳の内部にある空間、脳室に過剰に溜まった髄液が、脳を圧迫しさまざまな障害を引き起こす水頭症。頭部CTスキャンやMRIでその領域を特定し診断します。
岩本准教授が医療機関と共同で研究しているのは、AIのディープラーニングを活用した、さらに精度の高い医用画像処理技術です。

ディープラーニングによる画像セグメンテーションにより、
小児水頭症の脳室の体積を正確に測定 
疾患の定量化や患者に分かりやすく伝えることができるゴールを目指す
 

医療機関との共同研究のテーマは、医用画像から小児水頭症の脳室をセグメンテーションし、より高精度な解析と的確な診断へ導くソフトウェアの開発。特に小児は脳形状が多様であることから難易度の高さも課題となります。

現在、ディープラーニングを活用しながら高い精度で領域をセグメンテーションすることで、対象となる脳室の体積を測り、定量化する技術を開発しています。この技術が確立できれば、 正確に測定された体積から、疾患の定量化や、患者に術前・術後の変化を分かりやすく伝えたりすることが可能になります。

左)正常な脳室と、右)水頭症の脳室のイラスト

今後ますますニーズが高まる、医用画像の自動セグメンテーションと
画像処理技術に着目! 
既存の技術もブラッシュアップすることで医療分野にAIの技術で貢献

医用画像の対象となる領域を自動でセグメーテーションし、現場の医師が直感的に利用できるシステムの開発は、今後ますます医療分野で必要とされる技術の一つです。

MRIやCTの画像から特定の臓器に色をつけて抽出する技術の一例
(Medical Image Decathlonデータセット画像 (spleen)(Licensed under CC-BY-SA 4.0)[1,2]をITK-SNAP[3]ソフトウェアで表示)

上の画像のように脾臓や肝臓を抽出する技術はすでに広く活用されていますが、その精度をできるだけ上げるために最新のアルゴリズムを使ってその開発に取り組んだり、小児水頭症のように、これまでセグメンテーションの研究例が少ない領域に着目し、ソフトウェアの開発を目指したりしています。

このほか、CTスキャンやMRI画像のノイズ除去や、解像度を上げるなどの医用画像処理に関する研究にも取り組み、医療分野で広く活用されるAI技術の発展に力を注いでいます。

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医療分野で医師と患者をサポートする
システム開発のAI技術

開発中の技術が確立すれば、現在共同研究中の医療機関で実際に医学的な解析に活用いただく予定です。 研究テーマでもある医用画像処理の分野でAIを駆使して医療現場に少しでも力添えができれば、と考えています。たとえば、随分先の未来になりますが、医師の診断をサポートするような技術や、 身体に気になる症状があった場合、患者自身が写真を撮って、まず画像である程度診断し、後に医師が適切な診断ができるようなシステムを開発できればと考えています。

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参考文献

  1. Medical Segmentation Decathlon, [Online]. Available: http://medicaldecathlon.com/
  2. Amber L. Simpson et al. “A large annotated medical image dataset for the development and evaluation of segmentation algorithms”,
    arXiv:1902.09063
  3. Paul A. Yushkevich, Joseph Piven, Heather Cody Hazlett, Rachel Gimpel Smith, Sean Ho, James C. Gee, and Guido Gerig. User-guided 3D active contour segmentation of anatomical structures: Significantly improved efficiency and reliability. Neuroimage 2006 Jul 1;31(3):1116-28. [Online]. Available: www.itksnap.org

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