KOZAKI Kouji
情報通信工学部 情報工学科 教授
大学院 工学研究科 情報工学コース 教授
博士(工学)
大阪大学
オントロジー工学 / 知識処理
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リアル脱出ゲームにハマっていて、今まで挑戦した回数は100回超え。一般に成功率は30%と結構難しく、最初の10回は全然クリアできませんでした。今は高校生の息子と一緒に挑戦しています。

世界中の誰もがデータと知識を共有し
人間の知見を超えて新たな発見へと導く

人間は目的に向かって最短ルートを意識し動いていますが、「繋がりがない」と目を向けていなかったところに新たな発見があるかも知れません。
古崎教授は、そんな発想で、オントロジー工学を用いた知識の体系化や、人間では得られない網羅的な知識の組み合わせを導き出す「知識グラフ」を研究しています。

開発を目指す製品の機能を始点に、
工学者が生物学の知識へとたどりつくことが可能に 
バイオミメティクスのデータベースとなる知識グラフで、企業の製品開発に貢献

元々「存在論」という哲学用語であるオントロジー。AI分野では、人間とAIが対象世界を共有できる形で明確化・体系化し、共通認識とするために整理する手法を研究する分野を指します。その基礎理論に基づいて古崎教授が1996年に開発したフリーソフトウェアが「法造」です。

また現在研究を進めているのが、知識の構造を繋いだ知識グラフ(ナレッジグラフ)。知識グラフは世界中で作成され、さまざまな分野に応用できますが、古崎研究室で開発した知識グラフの1つが、生物の知識のない工学者が、新製品開発の際に「模倣できそうな生物をみつけたい」というニーズに応えるバイオミメティクス・データベースです。

たとえば作りたいものが「防汚・抗菌塗料」であれば、そのゴールを始点にさまざまな知識が提示され、カタツムリの粘液にそうした効果がある、というところへたどり着くことができる仕組みです。

知識ナレッジのイメージ

LODで誰もが自由に利用できるデータを用いて
ナレッジグラフ推論チャレンジなどのイベントを開催 
推論できるAIシステムの開発を目指します

2007年頃から世界中で広まっているのが、情報をオープンな知識グラフであるLOD(Linked Open Data)として公開しようという動き。プログラムからアクセスでき、Webで公開されかつ自由に利用できるというもので、1つの情報をたどるとあらゆる知識にたどり着けるというのが究極的に目指されているところです。

それがどのくらい活用できるかを示すために古崎教授たちが2018年から毎年開催しているのがナレッジグラフ推論チャレンジというコンテストです。挑戦者はシャーロック・ホームズの小説を知識グラフ化したものを使って推理を進めます。

また2022年からは日常生活が対象の推論チャレンジも開始。日常生活の中での危険なポイントを知識グラフから探る試みで、知識を駆使して的確に考え答えを出すという人間の知的活動の最たるものを、AIで可能にする。その実現を目指して研究しています。

知識グラフでデータと知識のバランスを取り
ベストなソリューションを提供できる近未来へ

たとえば自動運転はAIのかたまりですが、「今道路のどのあたりを走っているか」や速度はデータの部分。信号を認識して「赤で停止するべきかどうか」は知識の部分。その境界線は難しいですが、データと知識を織り混ぜて、ベストなソリューションを目指していきたいと思っています。
これにより、前任者がいなくてもAIがノウハウを探し出したり、論文のタイトルや著者名といった限定ワードを知らなくても知識グラフから見つけ出したりすることが可能となり、さまざまな分野の研究者の助けになると考えています。

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