後援会・ワークショップ・シンポジウム │ 大阪電気通信大学 エレクトロニクス基礎研究所
講演会
「塚本史郎先生 講演会」
エレクトロニクス基礎研究所では、STMBE装置を開発され、ナノ構造結晶形成過程に画期的な知見を明らか にし続けている塚本特別研究教授をお迎えして講演会を開催します。卒研生・院生を含めて、多くの皆様の来聴を歓迎します。
STMBE(分子線エピタキシィー成長中走査型トンネル 顕微鏡観察)による化合物半導体ナノ構造結晶形成過程の解析
阿南工業高等専門学校 塚本 史郎
人は感覚機能により周りの状況を把握、その後の行動が続く、この当たり前のことを人類の歴史を通して絶え間なく繰り返してきた、人間の目や耳などで感知できる範囲の時代は、それが全てあり、それ以上、もしくは、それ以下の領域を理解して次のアクションを決定する必要はなかった。
ところが近年、人類が扱う範囲が急速に広がり、それに伴い、それを感知して制御する技術が日進月歩のいきよいで広がっている。特に半導体産業の躍進はいうまでもなく、それは半導体結晶の品質向上を抜きで語られることはない。今日、それは原子・分子レベルでの制御となって、人類は大きな壁に直面している。その大きな原因は、原子分子一個一個がどのように結晶のようなまとまった集合体になるのか、その過程をその場でしかも一個一個の動きをみることが現在の技術では不可能な点による。多くの理論が存在するが、実際にみなくては証明することはできず、また、その成長過程は多くの要素が関わりすぎて複雑・相互的で、単純化されたモデルではその一旦を説明できるだけにとどまり、異種の原子分子がよりあつまり複雑な三次元構造をなす結晶の成長過程を説明することは難解の域を超え、どこかで折り合いをつける(要するにあきらめる)のが当たり前のような風潮もある。自然界のことは自然にまかせ、とにかく使えることが重要、出来たもの重視で、その深みにはいる手間を省きたがるのは人の常である。
しかし、それでは未来はあり得ない。科学者たるもの、目では見えず、手でも触れることはできないが、そこに確かに存在して活動しているもの、その存在の気持ちにも似た性質を探求する責務がある。先人達がそれを行ってきたからこそ、今の科学技術があるのであり、彼らがそれを探求していた時代には、世の人からは何の役に立つのだと厳しい指摘の中を、まるで真っ暗やみの中の一筋の光を信じて、前のめりに、しかし、一歩一歩進んできたのが、今であると言っても過言ではない。
本講演では、結晶成長装置である分子線エピタキシィーと原子レベルで見ることができる走査型トンネル顕微鏡を完全合併させ、分子線エピタキシィー成長中に走査型トンネル顕微鏡観察できるSTMBE装置を開発、化合物半導体GaAsを中心にナノ構造形成過程を研究してきたこの20年間の成果について述べる。
【問い合わせ】
大阪電気通信大学 工学部 阿久津 典子
tel: 072-824-1131(内線2267)
e-mail nori@phys.osakac.ac.jp
【参加申し込み】
大阪電気通信大学エレクトロニクス基礎研究所 古賀 弘
tel: 072-824-1131(内線2588) fax: 072-820-9010
e-mail feri@isc.osakac.ac.jp