情報通信工学部 通信工学科は、2019年度より3年生の「卒業研究室配属」をノーベル経済学賞を受賞した安定マッチングアルゴリズムを利用したオンライン投票で実施しています。研究室前に貼りだされた紙に第1希望を記入する従来の方式で起こる、希望の出しづらさやプライバシーなどの問題を解消し、学生と教員の双方の希望を最大限に叶えることができます。
学生は希望する研究室を第4希望まで選び、Web上にて電子投票します。また、各教員はそれぞれの研究室ごとに設けた評価基準を基に学生を並べたリストを準備し、それぞれのデータをプログラムにセットします。このリストはMD5ハッシュという技術により偽造防止されます。
各学生のデータは、第1希望から順に希望する研究室に配属を願い出る処理がなされます。研究室側は、順位リストのデータに基づいて受け入れの可否をネットワーク通信で回答します。希望が通らなかった学生の投票データは第2、第3希望...と希望度の高い順にこの作業を繰り返します。希望がかなわない学生も、教員評価が高い方の研究室に配属されることで、全員の配属が決定します。
後の集計により89.7%の学生の希望が叶っており、配属方法に関するアンケートでも96.3%の学生が従来の方法より安定マッチングを利用した方法が良いと回答し、満足度の高い結果が得られました。
本来は、数秒で終わるものですが、最新のアルゴリズム・通信プロトコル・偽造防止技術などを身近に体感してもらうという学修効果も狙って、しくみを学生たちに伝えるために通信状況をリアルタイムに画面に表示。その様子を見ていた学生らは、希望通りに研究室に配属されるのか期待と緊張の表情で画面を見守っていました。