山口柊弥さん(工学部建築学科3年)の作品が建築新人戦2025で100選に選出されました。
建築新人戦は、2009年にスタートし、2025年で17回目を迎える学生建築設計コンペです。建築を学ぶ学生たちが自身の設計力を試す場として、毎年全国から注目を集めています。
第一線で活躍する建築家や教育者たちが審査員となり、若い才能の発見と育成を目的として開催されています。単なる「学生作品」ではなく、建築としての社会性・空間性・構成力・表現力など、プロの視点で厳しく評価される点が特徴です。
9月13日(土)から15日(月・祝)に梅田スカイビルで、一次審査で選出された100作品が展示され、山口さんの作品も展示されました。同期間に二次審査・公開審査が行われましたが、残念ながら二次審査に進むことができませんでした。
しかしながら、「100選」に選ばれた作品は全国巡回展示や記録集への掲載が行われ、広く作品を知ってもらえる機会となります。
この貴重な経験を胸に、山口さんが今後どのような建築を生み出すのか、今からとても楽しみです!
<山口さんのコメント>
私が今回の作品で意識した点は、いかにして人の居場所を作るかというところです。
普段の私たちは家で過ごしていて、地球という環境に支えられて暮らしている意識が薄れているのではないでしょうか。それは私たちにとって、家の中だけで暮らしてしまう閉鎖的な社会をもたらしかねませんし、持続可能な社会を目指す今後の価値観にも沿わないと思います。そこで、この作品では外の環境に着目し、私たちが出来る営みとして「木を植えること」と「レンガを焼いて庭をつくること」を提案しています。この音楽ホールを文字通り地域に開き、開放された空間で自然環境と共に暮らすことが、新たな文化の拠点として相応しいと考えたのです。
私が作品に込めた、社会に対する「問い」が審査員の心に残ったからこそ、建築新人戦100選に選出されたのだと分析しています。建築新人戦への挑戦は、私にとっては今回が最後のチャンスでした。惜しくも表彰までは届きませんでしたが、建築家の先生方からのアドバイスを直接頂けたり、日本全国から集まった学生たちと意見交換が出来たりと、大変貴重な経験となりました。ここまで奮闘できたのも、本学の先生方や先輩方、同期たちと後輩たちの協力があってこそでした。今回で得られた経験をこれからも活かして、日々頑張っていきたいです。
【作品概要】
タイトル:
根源へ還る道
人の居場所を再構築する音楽ホール
概要:
非日常のための音楽ホールが日常の場である文化の拠点になり得るとは私には思えない。作る側と使う側という権力構造、そして分断を抱える固定化された建築が人々の居場所を限定させている。象徴的な日常の音楽ホールから、人の居場所を再構築することを提案する。