8月10日(土)、11日(日)の2日間、神戸サンボ―ホール(神戸市中央区)で大規模都市災害における救命救助活動をテーマにしたロボットコンテスト「レスキューロボットコンテスト2024」が開催され、自由工房から「救命ゴリラ‼」チームの7人が出場しました。今回の競技会は6月に行われた予選(オンライン開催)を経ての本選となります。
「レスキューロボットコンテスト(略称・レスコン)」は、1995年に発生した阪神・淡路大震災を契機とするレスキューロボットの研究の中から生まれたコンテスト。人材育成とともに防災や災害対応に関する社会啓発で科学技術の裾野を広げ、レスキュー工学などの技術が将来高度に発展することを目的に開催されています。
また、競技を通じてモノづくりの楽しさを伝えると同時に、防災や減災の重要性ややさしい救出について考える機会を提供しています。
競技内容は、大地震で半倒壊した建物内(病院や高齢者施設、工場などに見立てた実験フィールド)に取り残された人を模したダミー人形(愛称:ダミヤン)を発見・救出するべく、7人で構成されたチームが自作のロボットを駆使して出動。コントロールルーム内からロボットに取り付けられたカメラ映像や様々なセンサー情報を頼りに遠隔操作。
制限時間内(ファースト・セカンド10分、ファイナル12分)に様々な任務をクリアしながらダミヤンをスピーディかつ安全に救出搬送、各ミッション(作業・調査報告・救出)などの合計ポイントで達成度を競います。
また、「レスコン」ではコアコンセプトとして掲げられた「やさしさ」を基本姿勢としており、救助される者への優しさや思いやり、配慮、親切さをはじめ、ロボットを遠隔操作する際の易しさや観客への説明のやさしさ(平易さ、明解さ)も求められます。
「救命ゴリラ‼」チームの7人は10日のファーストステージで最終組として登場。工学部電子機械工学科の入部正継教授が技術レポーターとして実況・解説する中、日ごろの研究成果を生かしたロボット3機(ロボット名:アンタレス・アルデバラン・ベテルギウス)で競技に挑みました。
競技会出場に向けて昨年秋から準備を進めてきた学生たちは、救助隊と要救助者がマイクとスピーカーで会話したり、ディスプレイを用いた図や字幕によって不安を取り除くことを目的にした「要救助者コミュニケーション」をロボットに搭載しました。
スタートの合図とともにコントロールルームからロボットを遠隔操作。最初やや遅れ気味にスタートしたものの、確実に障害物やがれきを撤去しました。「今から救助を行います」などと声をかけながらダミヤンに近づき、チーム一丸となって救出に力を尽くしました。
あと一歩のところでタイムオーバーとなり、ダミヤンの救出は叶わなかったものの、確実にミッションをクリアしたことで高ポイント(103ポイント)を獲得。見事ファイナルステージへの進出を果たしました。
翌日のファイナルステージではダミヤン2体を発見してポイント5位(96ポイント獲得)。総合ポイントでは469ポイント獲得で5位と健闘しました。
その結果、「救命ゴリラ‼」チームは実行委員会よりレスコンメモリアルプライズのレスキュー工学奨励賞を受賞しました。
チームリーダーを務めた渡邉龍人さん(情報通信工学部情報工学科3年)は「ロボットを制作する前に神戸の『人と防災未来センター』に行って情報収集し、開発研究の参考にしました。大会のコアコンセプトである『やさしさ』に着目し、要救助者が安心して救助を待てるシステムを開発しました。自分は今大会で引退しますが、来年出場する後輩たちにレスキューロボットの極意をしっかり
と引き継いでいきたいです」と熱く語っていました。
入部教授は「ロボットコンテストには魔物が住んでいます。本番直前まで動いていたロボットが、突然動かなくなることが珍しくないからです。今回の大会でもそんな体験をしたチームがいくつかありました。大切なのはやはりきちんと設計して、メンテナンスを行うこと。それが成果につながるのです」と振り返っていました。
また、コンテスト当日は本学の先端マルチメディア合同研究所(JIAMS)とデジタルゲーム学科、ゲーム&メディア学科の教員の協力の元、両学科の学生がライブ撮影・配信、オープニング映像や協賛企業のCM制作を担当するなど、大会競技だけでなく、運営にも大学として関わっています。
「自由工房」は寝屋川と四條畷の両キャンパスにそれぞれ活動拠点があり、モノづくりのための設計や製作ができる設備が整っており、専従スタッフよりアドバイスを受ける体制も確立しています。学生の日々の努力が実るように、今後もサポートしてまいります。