バイオエンジニアリング講演会
2012年3月27日
「医療・福祉分野の研究開発・起業化・産官学連携」
メカトロニクス基礎研究所バイオエンジニアリング部門が、大阪電気通信大学医療福祉工学研究科、日本実験力学会・身体運動再建工学分科会、日本実験力学会・機械の流れ分科会との共催で、バイオエンジニアリング講演会を以下のとおり開催した。
(1)「最近の高機能義肢について」
講師:神田一憲 氏(川村義肢株式会社)
【概要】身体の一部を失った方の、もうひとつの手足となる「義肢」の構成パーツは、近年目覚しく進歩している。シリコーンライナーを用いたソケットや各関節可動域でのマイコン制御等、より高精度な技術を取り入れた義肢について紹介された。
(2)「スポーツ用義足の開発と機能試験評価」
講師:大塚 滋 氏(株式会社 今仙技術研究所)
【概要】今仙技術研究所では平成21-22年度に厚生労働省障害者自立支援機器等開発促進事業の助成を受けスポーツ用義足の開発を行った。この開発ではスポーツという特殊な使用に対し、ベンチテストやフィールドテスト、運動解析を通して様々な評価を行う事で実用化と今後の開発に対する課題を明らかにする事を試みている。試作機器に対する様々な評価方法とそれに対する今後の課題について報告された。
(3)「生活支援のためのヒューマン・マシンシステム」
講師:北山一郎 先生(近畿大学)
【概要】近年、人と機械が一体となって作業を行う技術で様々な進展が見られる。それら技術のベースであるヒューマン・マシンシステムについて基本概念をはじめに説明し、特に“アシスト”をキーワードとした概念と機器について解説が行われた。ついで、それに関連した先進事例として、パワーアシスト装具やパワーアシスト機器、訓練用機器等が紹介された。
(4)「”医療機器”ではない、医療機器、というコンセプト起業 -研究はお金がかかる??-」
講師:得丸 智弘 先生(大阪医科大学)
【概要】研究、開発を行う上では研究資金の調達は不可欠なものであると考えられている。では、資金調達が出来なければ、研究、開発は出来ないのか?これまで大学で種々の研究を行ってきたが、研究の立ち上げ、企画など資金を使わずに行い得てきた。その経緯と、起業に至る経過について紹介された。
(5)「産学官連携の”立命館モデル”とライフサイエンス分野での事例紹介」
講師:牧川 方昭 先生(立命館大学)
【概要】立命館大学では、1994年のBKC展開を機に本格的に産学連携に着手し、約15年かけて”立命館モデル” として知られる産学官連携体制を確立した。立命館モデルの歴史、仕組みについての概説と、ライフサイエンス分野での詳細な事例が紹介された。
公開講演会
2012年3月12日
「知能ロボットの最前線(9) ~人―ロボット共存のための安全技術~」
メカトロニクス基礎研究所主催の「知能ロボットの最前線」と題する公開講演会も今回で9回目を迎えた。今回は「人―ロボット共存のための安全技術」として、この分野の最前線で活躍されているお二人の先生をお招きしての講演だった。今回の講演は、前年に比べて参加者が少なかったが、それでも本学の教員・学生を中心として60名ほどの参加者を集めた。さらに、質疑応答時には、時間の調整に苦労するほど本学学生も含めて活発な質疑があり、盛況のうち終了した。
(1)「人とロボットとの共存社会とは」
講演者:(株)モリタ製作所 品質技術部 岩岡 和幸 氏
【概要】人とロボットの共存社会とは何かを、機械安全から見た考察、労働安全から見た考察、製品安全から見た考察を通して述べた。
(2)「次世代ロボットのための安全技術と研究課題」
講演者:名古屋大学大学院 工学研究科 機械理工学専攻 教授 山田 陽磁 氏
【概要】安全技術の基礎を交えながら、次世代ロボット安全に関する講演者の研究事例を紹介する。それらは、人間・ロボット協働セル生産システムのための人間の危険領域への侵入を検知するビジョンの研究、目に迫る機械的危険源に対する人間の回避可能性に関する研究等であるが、いずれも安全技術の基礎となるリスクアセスメントの結果に基づいて、講演者が設定してきた課題である。




特別講演会
2012年1月26日
「東日本大震災 水門の被害について」
講演者:元Hitz 日立造船㈱ 鉄構・建機事業本部 設計本部 技術総括 大阪電気通信大学 客員研究員 巻幡 敏秋 氏
河川には、水位の調整や洪水を防ぐために、多くの水門が設置されている。昨年の東日本大震災で発生した巨大津波は、河川の水門設備にも大きな被害をもたらした。本講演会では、貴重な資料やデータをもとに東日本大震災の水門の被害について、長年水門の設計に携わってこられた巻幡敏秋氏に分かりやすくお話いただいた。


特別講演会
2011年7月26日
「原価計算に学ぶ成瀬人生録」
講演者:日立グローバル・ストレージ・テクノロジーズ社 元社長 成瀬 淳 氏
「商品の原価計算」というものは、一見、工学には無関係のように思われるが、企業に就職すれば必ず必要になる避けては通れない課題である。本講演会では、日立グローバル・ストレージ・テクノロジーズ社の社長を務められた成瀬 淳氏に「原価計算」を通して学んだ人生の教訓について分かりやすいお話いただいた。


特別講演会
2011年7月7日
「ゲート(水門)の振動に及ぼす減勢槽の影響」
講演者:元 日立造船㈱ 鉄構・建機事業本部 設計本部 技術総括 大阪電気通信大学 客員研究員 巻幡 敏秋 氏
工学の分野では振動に関連した重大な問題が数多く発生しており、ダム放流設備においても同様である。洪水時にダム湖の水位を調節することを目的とした放流設備では、放流時に減勢槽の影響で主ゲートが激しい振動現象を引き起こし大きな問題となっている。本講演会では、貴重な試験データをもとに振動問題を解決した具体例を、長年その分野で指導的な役割を果たしてこられた巻幡敏秋氏に分かりやすくお話いただいた。

