MERI Activity Report (2012 Vol.13)

1.巻頭言(全文掲載)
「なぜ世界一にならなければいけないのですか」という発言に象徴された民主党政権が崩壊して、自民党政権が再起した平成24年でした。しかし、原発事故処理が未完成で不透明である中で、再び、原発再開がささやかれるような状況では、やはり偉大な先人寺田寅彦先生が言われた「災害は多分に人為的なものであるから技術によって根絶出来るように思えるが、逆に人為的であるが故に不可抗的だと言えないか」を思い起こさざるを得ません。人間は驕り昂ぶって傲慢になり、そこには人間の脆さと怠慢が常に付きまといますから、将来再び同じような災害を繰り返すようなことになるのでしょうか。デカルトが説くように「うそごまかしをイエスと言わず本当のものを見つめること」が今の時代には特に大事なことのように思います。こういった不安定な世の中ですから、科学者たちの果たすべき役割は極めて重大です。こういった観点に立ってメカトロニクス基礎研究所の果たすべき役割も非常に大きいものと受け止めるべきでしょう。
平成24年度のメカトロニクス基礎研究所では30名の先生方が機械工学基礎部門、計測制御・ロボティックス部門、バイオエンジニアリング部門、電気・電子・情報部門の4部門でお互いに協力し合って研究に邁進していただけました。研究業績も多数得られております。特別講演会、シンポジュウムも多数開催して、学生たちの研究モティベーションを高めるためにも多く貢献していただけました。先生方のこういった活動を支える研究環境も予算面で前年度比約28%の改善を達成できております。今後も、このような形で多くの先生方にお互いにさらに協調・協力し合って活発に活動していただきまして、予算面での研究環境もさらに良くしていくことに希望を持ちたいと願っております。
メカトロニクス基礎研究所が平成12年に研究施設として発足しましてから丸12年になります。その間、メカトロニクス基礎研究所を常に支えてきてくださいました安弘先生が定年によりまして、今年度末をもちまして研究所を去られます。先生のご貢献は研究所に対しましても筆舌し難いほどのことが多数ありますので、ここに紙面をお借りしまして、心より御礼申し上げます。他にも定年で研究所を去られます方が今年度は3名もおられます。先生方の実に多方面からの長い間の多大なご尽力に心より御礼申し上げます。
先輩の方々が残してくださいました多くのことを礎に、今後は、研究環境をもっともっと充実し、社会に注目され、社会に役立ついい研究所にしていくことが必要であると真摯に受け止めております。研究所の各部門を発展的に分所化しまして、それを契機に、ほとんどの先生方がどこかの研究所に所属するぐらいにしていくべきでしょう。みなさま方と協力し合いまして、是非、夢を実現していければと願っております。今後とも、どうぞよろしくご支援いただけますようお願い申し上げます。
メカトロニクス基礎研究所 所長 石井 徳章
2.組織説明(以下、目次のみ)
3.共同研究報告
4.共同利用報告
5.講演会
6.研究報告
- 大形テンタゲートの振動実地調査結果に基づいた動的不安定に関する検証(石井 徳章、西原 一嘉、阿南 景子、奥 達也)
- エアコン・冷凍機用圧縮機の最適設計指針の確立に関する研究(石井 徳章、小笹 俊博、奥 達也、阿南 景子)
- 超精密加工の高度化(石島田 尚一、宇田 豊、田中 宏明、山口 智実)
- 超精密計測の高度化に関する研究(宇田 豊、島田 尚一、古城 直道、郷 康幸)
- 車輪型移動ロボットによる視覚障がい者のための誘導走行法の開発(安 弘、入部 正継)
- 教育用歯科シミュレータの改善について(登尾 啓史、山口 哲)
- 膝前提示型歯科シミュレータに関する研究(大西 克彦、登尾 啓史、小枝 正直)
- 力覚提示装置の相対位置推定(小枝 正直、星野 雄貴、登尾 啓史、大西 克彦)
- 多用途歩行分析用大型フォースプレートの開発(西原 一嘉、吉田 晴行、森本 正治、藤川 智彦)
- 円管内等減速度流れにおける乱流遷移の研究(西原 一嘉、石井 徳章)