MERI Activity Report (2013 Vol.14)

1.巻頭言(全文掲載)
研究所が中心となってやらなければならない大きな役割の一つに、産学連携の推進があります。外部の企業や研究機関と積極的に共同研究を推進していけるように研究所が窓口となって援助していくべきです。本学のような規模の大学にとってなかなか難しいことですが、今年度は幸い、東京女子医科大学病院・神経精神科の喜田光弘医師からの申し出がありまして、バイオエンジニアリング部門の松村雅史先生を代表とする先生方との間で共同研究契約を締結することができました。本学では初めてのケースです。将来の発展を期待しまして、今年度新たにメカトロ研特定共同研究も発足させ、研究所としても全面的に支援することを開始しております。MRI やCTに代表されますように、医療分野では定量的な診断機器が数多く開発され、実用化されてきていますが、うつ病に関してはそのような診断機器が全く開発されていないのが現状です。そこに着眼しまして、「血中酸素動態を検出するヘッドバンド型NIRSの開発」を行っております。極簡易型のNIRSを開発して、精神的に負荷をかけた時の頭の中の酸素濃度を検出し、うつ病の定量的診断を可能にしようとするものです。すでに大学病院で臨床試験をするまでに研究が進展しているような状況です。メカトロニクス基礎研究所としまして、このような外部機関と連携した共同研究を、今後とも、大いに積極的に支援していきたいと考えております。
平成25年度のメカトロニクス基礎研究所では、28名の先生方が機械工学基礎部門、計測制御・ロボティックス部門、バイオエンジニアリング部門、電気・電子・情報部門の4部門で、お互いに協力し合って研究に邁進していただけました。研究業績も多数得られております。特別講演会、シンポジュウムも多数開催しておりまして、学生たちの研究モティベーションを高めるためにも多く貢献して参りました。
研究所のこのような活躍をさらに発展・拡大していくために、平成28年度を目途に、計測制御・ロボティックス部門とバイオエンジニアリング部門を独立した研究所にしていくことを計画しております。メカトロニクス基礎研究所本体も強化するために、「エネルギー・環境工学部門」を新設することも計画しております。そうすることによりまして、多くの先生方にどこかの研究所にご参画いただける環境を整えることができますので、外部財団からの補助を倍増することができるようになります。こういった形で先生方の研究環境を大いに改善していきまして、本学の研究活動をさらに活性化していけることを切に望んでおります。
みなさま方と協力し合いまして、いろいろな夢を着実に是非実現していければと願っております。今後とも、どうぞよろしくご支援いただけますようお願い申し上げます。
メカトロニクス基礎研究所 所長 石井 徳章
2.組織説明(以下、目次のみ)
3.共同研究報告
4.共同利用報告
5.講演会
6.研究報告
- 変動荷重(エンジン)軸受解析のCADへの展開(小笹 俊博、新関 雅俊)
- ISO22675準拠試験機を用いた義足足部・足継手部の動的Roll-over特性解析(吉田 晴行、森本 正治、橋本 泰典、西原 一嘉)
- 能動電極一体型ネックバンドを用いた運動時心電図R波のモニタリングシステムの開発(松村 雅史、石森 辰弥、道幸 成久、石村 仁志、池田 志帆)
- 乳児の吸啜時における舌運動計測のための力センサを内蔵した哺乳瓶型計測システムの構築(新川 拓也、武井 安津子)
- ヒトの力学特性に基づいた新たな運動解析手法の提案に関する研究 -立ち上がり動作における大腿直筋の特異性-(藤川 智彦、太田 暁美、百生 登)
- 光ファイバーバンドルの局所波面制御を用いた血管内視鏡の開発(日坂 真樹、後藤 大清)
- ステレオ視に基づくファジイモデルによる三次元計測(渡邊 俊彦、齋藤 佑一)