2025.06.18
空間デザイン専攻2年生の授業で東畑建築事務所の講演会を開催しました
6月9日(月)、建築・デザイン学科 空間デザイン専攻2年生を対象に「プロジェクト活動演習1」の授業の一環として、株式会社東畑建築事務所 設計室の平野尉仁氏による講演会を開催しました。
はじめに、建築家や組織設計事務所、住宅メーカー、自治体の設計職など、建築設計に関わるさまざまな職種の違いについてお話しいただきました。
次に、平野氏がチーフとして携わってきた病院や学校、研究所、地域複合施設などの幅広い公共建築のプロジェクトを紹介。入社6年目からは、プロジェクト全体を統括する立場として活躍されています。
また、設計の進め方については、提案書作成の段階からチームで自由にアイデアを出し合い、コンペでは自らプレゼンテーションも行うなど、工夫を凝らしながら取り組んでいることを説明されました。さらに、設計業務は図面を描くだけでなく、現場で施工状況を確認しながら設計意図を的確に伝えるという重要な役割も担っており「私たちは“作品”をつくる建築家ではなく、お客様の要望に応え、その一歩先の提案をカタチにしていく存在です」という言葉は、学生たちに強く印象づけられたようでした。
さらに、2025年大阪・関西万博に出展している「ヘルスケアパビリオン」の設計についても紹介。約3年かけて準備・設計されたこのプロジェクトは、「大阪らしさ」「循環・すべてに優しい」「生命・新たに生まれ変わる」といったテーマで展開されており、「建築をつくるのは“人”である」という設計に込めた想いを語られました。また、具体的な3Dモデリングやパラメトリックデザインを用いた設計手法、再生素材の積極的な採用、実物大モックアップでの実験など実現へのプロセスを伺い、最先端のエンジニアリングとデザインの融合を感じられました。
平野氏は、建築設計の本質を「“付加価値をつけて”想いをカタチにすること」と語りました。その価値の加え方こそが設計者の個性であり、建築の魅力につながると強調しました。
質疑応答では、「建築に関わるさまざまな職種がある中で、なぜ設計事務所を選んだのですか」という質問に、「学生時代から、何かを生み出す仕事がしたくて設計の道を選びました」と回答。また「チームでの活動において、どのような魅力ややりがいを感じていいますか」という問いには「チームで協力することで、個人では思いつかないような提案が生まれることもあり、その過程に楽しさや大きなやりがいを感じています」と述べ、多くの質問に丁寧に答えてくださいました。
最後に平野氏は「大阪・関西万博をきっかけに自然素材などに目を向けるようになりました。万博にはそういったアイデアが詰まったパビリオンが数多く出展されています。何かを得ようとする姿勢があれば必ず学びにつながるはずです。関西で開催されている今、ぜひ足を運んでみてください」と学生たちに呼びかけました。
参加した学生は、「ヘルスケアパビリオンの設計プロセスを詳しく知ることができ、実際に見に行きたいと思いました。私は3Dモデルで設計していますが、今後は模型づくりも含め、実際に見て感じることの大切さを意識したいです。そうすることで、表現の幅が広がると感じました」と話してくれました。
学生たちにとって、建築職の業務について知ることができる貴重な機会となりました。