本学は、文部科学省が実施する令和3年度「デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業」に選定を受け、建築の各工程(計画、設計、施工、維持保全)においてBIMを活用したシミュレーションを行うことができる高度な専門人材の育成を産業界と連携して推進しています。
12月21日(水)、本学大学院(工学研究科建築学コース)では、DX補助金によって導入したFM-Integration(エフエム インテグレーション)を使ってICT建築設計生産論の実務実習を行いました。
FM-Integrationは、BIM(Building Information Modeling)と連携して、ビルやマンションなど建物管理にかかる将来的な費用を計算できるソフトウェアで、大手ゼネコンをはじめとする建築業界で、導入・検証が進められている信用性の高いソフトウェアです。
第14回目となる本講義は「建物管理」をテーマに、FM-Integrationの開発会社から講師を招いて実務実習を行いました。
当日は、株式会社FMシステムから柴田 英昭氏(同社・代表取締役社長)、渡邉 舞氏(システム営業部)の2名を講師に、「BIM情報を竣工後の建物の維持管理に役立てることの有効性」を軸に、過去の実績データから中長期計画の立て方について解説いただきました。柴田氏によると、FM-Integrationの実習を大学生向けに開催することは本学の授業が初めてとのことでした。
その後、実際にBIMとデータ連携したFM-Integrationを使って、設計図面からエアコンや照明といった設備品を抽出し、竣工後に発生する定期的な保守・メンテナンスなどの修繕費や設備品自体の買替えに必要な更新費を計算し、適切な中長期計画を立てる実習を実施。
実習中は、FM-Integrationを使うことで、設備品のLCC(ライフサイクルコスト)がリアルタイムで視覚化でき、試算したグラフからコストコントロールを行ってゆく実習に、受講している学生全員が夢中になっていました。また、修繕費と更新費について「中長期計画を考える上で、設備品の新型機種の導入や補助金制度の活用をどのように組み込んでいくべきか?」など、具体的な質疑応答がありました。
演習後の考察では、さまざまなBIMをデータ連携することで、将来的な予測などが効率的にできること。見えなかったものが可視化され、建築にかかわる人だけでなくビルのオーナーや警備会社・テナント・保守・清掃会社など多くの人が情報を共有する事に意味が出てくる(動きが変わる)、など真の効率化を進める上でのビジョンが示されました。
本学では、今後も「現場の即戦力となる技術とスキル」を重視した、建築系DX教育を推進していきます。