工学部基礎理工学科の学生たちが1月17日(木)、後期の授業で取り組んできた「Whisper Dishes」製作プロジェクトの最後を飾るコンテストを行いました。
基礎理工学科における「基礎理工学ゼミナール」は、設定された複数のテーマから1つを選択し、これまで学修した科学や数学に関する知識や技術を駆使して、与えられたプロジェクトを達成するゼミ形式の授業です。各ゼミで課題を設定し、解決のプロセスを自ら考え、実践します。
今回、尾花由紀准教授が担当する学生たちは「基礎理工学ゼミナール2」「基礎理工学ゼミナール4」で学年横断型のチームを組み、「Whisper Dishes」の製作プロジェクトに取り組みました。
Whisper Dishesとは放物線が持つ性質を利用してパラボラアンテナ型の反射板を向かい合わせに2つ設置し、微弱な音を遠く離れた場所に伝達する装置です。離れた場所で互いに会話ができることから、科学博物館などで人気の展示物の一つです。
設計図を作り3D造形先端加工センターで木材加工の実習を行うなど、約3カ月間に渡った製作を終え、いよいよこの日はプロジェクトも大詰め。実際に音を反射させてどれだけ効率よく音を集めることができるか性能を測定し、コンテストを行いました。
コンテストではWhisper Dishes1対を規定の距離だけ離して設置し、音源スピーカーとマイクを固定したのち、コンピューターで30秒間録音。周波数解析を行って、音源周波数(2340Hz、3900Hz)に対してどれだけ大きな音を拾えたかで評価・判定しました。
学生たちが製作したWhisper Dishesは形や大きさがさまざまで、「自分たちが考えた設計図通りに加工するのが大変だった」「木材加工に時間がかかった」「カーブが大事なので、この形にするのがとても難しかった」と製作時の思いを話してくれました。
結果、2340Hzと3900Hzの平均で、反射板がない場合と比べて約320倍の音を記録したチームが優勝。尾花准教授は、授業でWhisper Dishesを製作するのは今回が初めてといい、「数学で放物線の焦点などを学修するが、音を反射した際、本当に焦点に集まるのか、実際に学生に体験してもらうことなどが目的。優勝したチームは規定のサイズいっぱいを使っていること、放物線の深さなどが良かったと思います」と述べました。