2023.12.18
工学研究科 電子通信工学コース 村上研究室の学生たちが「第46回 情報理論とその応用シンポジウム(SITA2023)」で発表を行いました
11月28日(火)から12月1日(金)の4日間、電子通信工学コース 村上研究室の学生らが、湯田温泉かめ福オンプレイス(山口県山口市)で開催された「第46回情報理論とその応用シンポジウム(SITA2023)」で発表を行いました。
SITAは、年に1度開催される「情報理論とその応用分野」に関する論文発表を行うシンポジウムです。例年、宿泊と発表会場を一体とした泊まり込みのスタイルをとっており、14年ぶりの湯田温泉での開催となりました。
発表テーマは次の通りです
1.2暗号プロトコル
1.2.2『合成数を法とする離散対数問題に基づくID-NIKSの秘密計算による個人秘密鍵生成法の実装』
◎工学研究科電子通信工学コース1年 井上颯人
情報通信工学部通信工学科 卒業 三木美月
情報通信工学部通信工学科 教授 村上恭通
1990年、本学村上教授と笠原京都工芸繊維大学名誉教授は合成数を法とする離散対数問題を利用した予備通信不要なID鍵共有方式(MK)を提案しました。しかし、当時はコンピュータの性能不足のためMKを実現させることができず、2022年、三木さん(本学通信工学科卒業)らが p-1とq-1の素因数がB-smoothな方式を提案し、MKの秘密鍵が実際に求められることを示しました。本研究では、B-smoothな位数を有する離散対数問題に基づくMKの個人秘密鍵を、秘密計算を用いて安全に計算する手法の実装を行いました。
2.2 公開鍵暗号
2.2.3 『MHナップザック暗号に対する低密度攻撃におけるLLL法とFlatter法の性能比較』
◎工学研究科電子通信工学コース2年 皆本颯佑
工学研究科電子通信工学コース1年 井上颯人
工学研究科電子通信工学コース修了 佐藤南
情報通信工学部通信工学科 教授 村上恭通
情報通信工学部通信工学科 准教授 境隆一
多くの公開鍵暗号は、量子コンピュータにより解読されることが証明されており、部分和問題を利用するナップサック暗号は耐量子暗号として注目されています。LagariasとOdlyzkoが提案した低密度攻撃は、密度が低ければほとんどのナップザック暗号が解読可能である。2023年、Ryanらは従来のLLLよりも効率的な格子基底縮小アルゴリズムであるFlatterを提案しました。本研究では、MHナップザック暗号を生成し、LLLとFlatterを用いた低密度攻撃で解読実験を行い、両手法の性能を比較しました。
3.2 本人確認・認証
3.2.2『ムンカー錯視を利用したCAPTCHAの提案』
◎工学研究科電子通信工学コース2年 山口弘太郎
情報通信工学部通信工学科 卒業 泉裕貴
情報通信工学部通信工学科 卒業 金野綾佳
情報通信工学部通信工学科 准教授 土居元紀
情報通信工学部通信工学科 教授 村上恭通
BOTによるアカウントの不正取得を防ぐには、人間と機械を識別するCAPTCHA技術が
不可欠である。従来のCAPTCHAは、人間の能力に依存していたがAIの進化により突破されることが増えている。筆者らは、逆に人間の脳の特性を利用するアプローチに取り組んでおり、特に色相は、周囲との対比や同化によって認識が変わる錯覚があり、CAPTCHAに適用できる可能性があります。本研究では、色相対比とムンカー錯視を利用したCAPTCHAを提案しました。
2.2 公開鍵暗号
2.2.4『ナップザック公開鍵暗号の等価秘密鍵の導出攻撃の改善について』
情報通信工学部通信工学科 教授 村上恭通
情報通信工学部通信工学科 准教授 境隆一
ナップザック公開鍵暗号の公開鍵から、秘密鍵と等価な鍵を導き出す攻撃法を改善する。
関連リンク
第46回 情報理論とその応用シンポジウム(SITA2023)
https://www.ieice.org/ess/sita/SITA2023/
村上研究室